関節リウマチは早期発見&早期治療で改善

ある朝、起きたときに体の全身の関節が強張った。 加齢による関節痛だと思って放っておいたら、そのうち肩に激痛が走るようになった・・・。 あなたは関節リウマチを発病したのかもしれません。 関節リウマチは発見や治療が遅れると、病状を改善させることが難しくなります。 そのためにも早期発見と早期治療がとても大事なのです。


■関節リウマチ発病のメカニズム

起きたときに体にこわばりを感じたら要注意!
自分を守るはずの免疫細胞が攻撃役に!

関節リウマチの原因について、明快な答えはまだ見つかっていませんが、研究が進み、 明らかになりつつあります。それは、異常な自己免疫反応がベースになっていることです。


●滑膜が免疫細胞の攻撃で炎症を起こす

関節というのは、本来、骨と骨をつなぐクッションの役割をしています。 骨の周囲の軟骨の周りに滑膜というピンク色の薄い膜があって、その中に関節液を溜めています。 関節リウマチが起きるということは、この滑膜のところに免疫細胞が集まって、炎症を起こすということです。 本来、免疫細胞は、体を守る役割なので、ウィルスや細菌が入ってきたとき、それを退治してしまえばいなくなりますが、 関節リウマチの場合は、滑膜に免疫細胞が集まってしまうのです。

◆関節液の分泌が腫れや痛みを起こす

異常なこの免疫反応で、滑膜が炎症を起こすと滑膜からおびただしい関節液が分泌され、腫れや痛みを起こします。 症状が進むと軟骨の破壊が始まると同時に、炎症細胞やサイトカイン、骨を溶かす酵素などの有害な物質が骨の靭帯、 筋肉へ広がり、さらに血液に乗って全身に及び、さまざまな障害を起こすようになっていきます。


日本の関節リウマチの患者数は70~100万人
日本での関節リウマチの患者は70~100万人いると言われています。 病気が始まるのは40代がピークです。患者の男女比は男性1に対し女性が4、女性に多く発病する理由は、 女性ホルモンや、男性より複雑な免疫の仕組みが関係していると考えられています。


●関節のこわばり、腫れの症状で自己チェック!

関節リウマチ発病の早期は、”こわばり”と”腫れ”が起こり、1週間以上続くことが病気のシグナルです。 下記の4つの症状のうち、一つでもあると関節リウマチの可能性があります。

▼朝のこわばり
朝、起きたときに、関節のこわばりが15分以上あり、そういう状態が1週間以上続く。

▼手指・手首などの腫れ
手指の第2、第3関節、手首、足指、足首の付け根の関節の腫れが1週間以上続く。

▼3つ以上の関節の腫れ
全身の3つ以上の関節が腫れ、その状態が1週間以上続く。

▼左右の関節の腫れ
肩、ひじなどの左右の関節が腫れ、それが1週間以上続く。

牛乳パックを使ってできる簡単関節リウマチチェック
体の関節のこわばりも、腫れもない。だからといって関節リウマチを発病していないとは限りません。 自宅で簡単にできる関節リウマチのチェック方法をお教えしましょう。 まず、新品の牛乳パックを用意してください。方法は簡単、その新品の牛乳パックをスムーズに空けられるかを試してみてください。 この関節リウマチのチェック法、実は病院で実際に行われているものです。 関節に何らかの症状があり、牛乳パックをスムーズに開けられなかった場合、関節リウマチを発病している可能性があります。 この場合もすぐにリウマチの専門医を受診してください。


●加齢による関節痛と関節リウマチ、どう見分ける?

関節にこわばりや痛みが出ても加齢による関節痛と思ってしまう人も多いはず。 それが関節リウマチの早期発見を見逃す原因になります。 加齢による関節痛と関節リウマチでは痛みの出る場所、タイミング、そして腫れ方が異なります。

◆痛み・違和感が出る関節の場所

加齢は第1関節に出る
加齢による関節痛の場合、多くは手の指の第1関節に痛みが出るのが特徴です。 また、加齢による関節痛は、最初は膝から出る人が多いと言われています。
関節リウマチは第2~第3関節に出る
第1関節でも発症することはありますが、多くは最初に指先から数えて2つ目の第2関節と付け根の第3関節に腫れ、 痛みが出ます。初期の痛みは常に持続するわけではなく、よくなったり悪くなったりしながら、徐々に進み、 次第にほかの関節も腫れるようになります。しかし、病状が進むと何もしなくても痛むようになります。

◆痛み・違和感の出るタイミング

加齢は体を動かしたときに出る
加齢による関節痛の場合、立ったり座ったりの動作や、長時間歩くなど、体を動かしているときや、 体を動かした後に痛みが強く出るようになります。

関節リウマチは起きたときに出る
関節リウマチの初期症状は体の「こわばり」です。朝起き上るときに出やすく、「朝のこわばり」と呼ばれます。 最初は体のこわばり、そして腫れ、痛みと進行していきます。「こわばり」は関節リウマチの初期症状の重要なサインです。 これは、眠っている間に炎症によって体液が溜まり、むくむためと考えられています。

◆関節の腫れ方が全く違う

加齢では触ると硬く感じる
加齢によるものなら関節を触ると硬く感じます。

関節リウマチは紡錘状になる
指の第2・第3関節の腫れが関節のところは膨らみ、先細りの糸巻きの心棒のような紡錘状になります。 腫れている部分は赤みを帯び、熱を持ってきます。触るとゴムのような弾力があります。 腫れは小さな関節から始まり、徐々に大きな関節も腫れてきます。

68の関節に発症の可能性
骨と骨とが接続するところが関節です。関節リウマチは体の中の動かせる68の関節に起こりやすいとされています。 手足の指、肘、膝、またなどの関節で、基本的な構造はみな同じです。 滑膜のある関節ならどこにでも発症する可能性がありますが、起こる頻度は違います。 関節リウマチが出やすい場所は、手(手指や手首)の関節で、特に手指の第2、第3関節で、 ほとんどの人はここから病気が始まります。また、足の付け根にもよく炎症が起こりますが、この場所の炎症は、 関節リウマチ以外ではあまり見受けられません。手や足の中小の関節が冒されやすいのですが、肘、膝、足首、股など 比較的大きな関節に病気が出ることも珍しくありません。その場合、歩行や日常動作が困難になり、 生活するにも支障が出てきます。


■早期発見するために症状を知り、自分でチェック

寛解を達成するには、できるだけ早く発見し、治療を始めることが大切です。 関節リウマチの症状を知っておき、当てはまるものがあれば、関節リウマチに詳しい専門医を受診するようにしてください。 早期の症状としては、朝の関節のこわばりが代表的です。 夜、寝ている間に関節液が溜まって関節がむくみ、動かしにくくなり、起きてからしばらく活動していると、ふだん通りに動くようになります。 関節液が溜まると、関節を触った時に軟らかくブヨブヨします。 また関節の腫れ、関節が熱っぽいというのも炎症が疑われる症状です。 関節リウマチでは、手指や手首、足指など、比較的小さい関節が最初に痛みだすことが多いようです。 病気が進行するにつれて、肩や首、股関節、膝、肘、足首など、全身の関節に痛みが現れてきます。

関節リウマチの発症は、30~50歳代で最も多く、女性に圧倒的に多いのが特徴です。 特に、妊娠や更年期をきっかけに発症することが多いので、女性ホルモンが関わっていると考えられています。 また、家族や親戚に関節リウマチや膠原病(自己免疫疾患の一種)のある人がいる場合、関節リウマチを発症しやすいことがわかっています。 さらに、喫煙歯周病なども、関節リウマチの発症の危険性を高めることがわかっています。 自分でコントロールできるものは改善していきましょう。

●関節リウマチの自己チェック

朝起きると、関節が強張っている
30分~1時間で普段通りに動くようになる
左右両方の関節が動かしにくい
痛む関節が腫れている
触ると関節が熱っぽい
軟らかくブヨブヨしている

複数当てはまったら医療機関を受診する。この中でも、特に「朝、関節が強張る」「関節が腫れる」「関節が熱っぽい」というのが、 早期に多く見られる症状。ブヨブヨした感触にも注意。