過敏性腸症候群の薬

腹痛や腹部の不快感を伴って、便秘や下痢を繰り返す『過敏性腸症候群』。 体質だと思い込んで諦めていたり、自己流の治療で薬を使いすぎている人も少なくないようですが、便通を整える効果の高い薬も増えています。


■過敏性腸症候群とは?

タイプに合った薬と生活習慣の改善で、自然な便通を取り戻す

便秘や下痢はさまざまな病気の症状として起こり、また、特に病気がなくても、一時的な便通の異常や腹痛が起こることは 誰にでもあり得ます。しかし、原因となるほかの病気がないのに腹痛や腹部の不快感を伴う便秘や下痢が繰り返し起こる場合は、 過敏性腸症候群の可能性があります。過敏性腸症候群は先進国に多く見られ、日本では7~10人に1人が症状を示すとも 言われています。しかし症状があっても体質のせいと諦めていたり、市販薬で症状を抑えようとして、 医療機関を受診しない人も少なくないようです。 現在の診断基準によれば、下記のような場合に過敏性腸症候群と診断されます。

▼必須要件
●腹痛や腹部不快感・・・・最近3ヵ月のうち、1ヵ月に3日以上にわたって繰り返し起こる。

▼追加要件
次の項目の2つ以上がある。
●排便によって腹痛や腹部不快感が軽減する。
●発症時に排便頻度の変化がある。
●発症時に便の形状(外観)の変化がある。

過敏性腸症候群は、便の状態によって「便秘型」「下痢型」「混合型」などのタイプに分けられます。 治療法には、症状を改善する薬物療法、心理療法を含めたストレス対策、生活習慣の改善などがあります。 ここでは、過敏性腸症候群の治療に使われる薬について説明します。

●なぜ起こるのか?

過敏性腸症候群は、腸の機能に異常が生じて起こる慢性の病気です。発症には体質や環境、バランスの偏った食事や不規則な生活、 腸内細菌、感染症腸炎など、さまざまな要因が関与していると考えられています。 腸の働きには脳が影響を及ぼすので、精神的なストレスも大きく影響します。 生活が乱れたり、ストレスが強いときに一時的に起こるお腹の不調は、多くの人が経験することです。 しかし過敏性腸症候群のある人は、慢性に腸の近くが過敏で、脳のストレス感受性が強いために症状が出やすいのです。