超睡眠法第3章『逆効果の「脳の休ませ方」』
⑦睡眠薬は少しずつ量を減らして脱却を

眠るためなら薬に頼り続けてもいいのか?


■睡眠薬は少しずつ量を減らして脱却を

◆薬では眠りの根本的な悩みは解決できない

不眠に悩むあまり、睡眠薬を服用した経験がある方もいると思います。しかし、薬について正しく理解しておかないと、 逆効果になることもあります。睡眠薬を服用すると入眠までの時間が短くなりますが、深い睡眠は増えず、むしろ減っていきます。 決して自然な眠りを生み出しているわけではないのです。また睡眠中に目覚める「中途覚醒」で悩んでいる方が、 夜中に目覚めたときに服用することもあります。「一晩だけ眠っておきたい」という場合には、一時的には有効ですが、 中途覚醒が完全に治るわけではないので、きちんと治したいなら睡眠リズムの改善から取り組む必要があります。

このように、睡眠薬は一時的に眠りへと導く効果はあっても、睡眠の根本的な悩みを解決するまでには至りません。 これを聞くと睡眠薬に依存してきた方は「これはまずい」と急に遮断するかもしれません。 しかし、急にやめると不眠が悪化してしまうので、まずは薬の量を減らしていくことから考えていきましょう。


◆薬の量を半分ずつに減らして生体リズムを整える

主治医が自己調整をOKしていたら、薬の量を一気に減らすのではなく、少しずつ減らしていく方法がおススメです。 睡眠が1ヶ月安定したら、服用している薬の量を半分に減らし、14日間様子を見てみます。 2錠の人は1錠、1錠の人は2分の1錠といった感じです。 いきなり半分に減らすのが不安だという方は、4分の1だけ減らすやり方でもOKです。 また、睡眠薬を使っているときも、夕方や就寝1時間前などに体温を上げ、睡眠時に体温が下がって自然に眠りやすくすなる状態を 作っておきましょう。14日経過しても問題がなければ、薬の量をさらに半分に減らします。 このとき「もう大丈夫」と薬の服用を止めてしまうと、再び不眠になってしまいます。 「もう要らない」と思っていても、飲み続けましょう。このローテーションを繰り返し、生体リズムを整えることで、 自然と睡眠薬に頼らなくて済むようになります。問題としては1ヵ月から2ヵ月です。 長いと思う方もいるかもしれませんが、不眠で何年も悩まされていた人にとっては、この期間は決して長いものではないと思います。

【作用時間は睡眠薬によってさまざま】

睡眠薬はそれぞれ作用の仕方が異なります。例えば超短時間型だと血中濃度がすぐ上って脳の覚醒中枢が抑えられるものの、 その濃度は数時間で下がるのに対し、長時間型は日中まで高い血中濃度を保つ効果が。 一般的に外来では長短時間、および短時間作用型が使用されます。