【質問】

出産後、立ち上がると尿漏れするようになりました。治療法はありますか?
●38歳・女性


【答】

女性の場合、咳やくしゃみをしたとき、あるいは立ち上がる時などにお腹の内部に圧力(腹圧)が加わり、尿漏れが起こることがあります。 これを「腹圧性尿失禁」といいます。 主な原因となるのが、骨盤内の臓器を支えている「骨盤底筋」(下図参照)の緩みです。 この筋肉が緩むと、膀胱が背中側に倒れて下がってしまいます。 ここに腹圧が加わると尿道が開きやすくなるため、尿漏れが起こってしまうのです。 骨盤底筋が緩む大きな原因が、妊娠・出産です。妊娠中は胎児の重さが加わることで骨盤底筋が緩みます。 また出産時には、胎児が産道を通過するときに骨盤底筋の組織が傷つき、それが筋肉の緩みに繋がります。 ほかには、肥満や加齢も原因となります。
治療法として有効なのは「骨盤底筋のトレーニング」で、約7割の人に改善が見られます。 減量も効果的で、 女性の場合、体重を5%以上減らすと腹圧性尿失禁が明らかに改善するという研究報告があります。 これらの治療を3ヵ月間行っても効果が見られない場合には、手術が検討されることもあります。

【骨盤底筋とは?】
女性の骨盤内には、お腹側から膀胱、子宮、直腸が並んでいます。 これらの臓器をハンモックのように下から支えている筋肉が骨盤底筋です。

骨盤底筋

(この答えは、2020年3月現在のものです。医療は日々進歩しているので、後日変わることもあるのでご了承ください。)