高血圧の服薬基準について

高血圧は180ミリ未満なら薬に頼らず自力で下げるのが世界標準で血管年齢のチェックと減塩革命がまず必要! 日本は降圧薬治療が軽度から始まるが、上180下110未満なら、数ヶ月は「薬なしで生活改善」が世界標準。


■判定基準と対処指針の変遷

中高年の二人に一人が高血圧

今や日本人の4人に1人、50歳以上の中高年では2人に1人が高血圧と報告されています。 推定患者数が4000万人を超える状況をみると、高血圧はもはや国民病といわざるを得ないでしょう。 高血圧は、動脈硬化の進行を早め、心臓病や脳卒中など命にかかわる病気を引き起こす原因になるといわれています。 しかも、ほとんど自覚症状がないため、「サイレントキラー(沈黙の殺人)」と呼ばれて恐れられています。 そのため、日頃から自分の血圧の数値を確認し、循環器疾患を予防することは、健康長寿を実現するうえで、とても大切といえるでしょう。

ところで、皆さんは、高血圧の判定基準と対処指針が過去から何度か変わっていることをご存知でしょうか。 1987年に国が示した「老人基本健診マニュアル」では、高血圧のために降圧薬を服用する基準(服薬基準)は、 最大血圧180ミリ以上、最小血圧100ミリ以上でした。これらの数値を超えた人は「要治療」とされ、 降圧薬の服用が勧められたのです。それより下の最大血圧140~179ミリ、最小血圧90~99ミリの人は「要指導」で、 これは、毎日の生活の中で工夫しながら降圧を目指し、しばらく様子を見るという意味です。

しかし、その後の2000年と2004年に、日本高血圧学会によって降圧目標基準が引き下げられました。 80歳以上の高齢者を例に取れば、2000年には、最大血圧160~170ミリ以上が基準となり、 2004年には、最大血圧140ミリ以上が実質的な基準となりました。 さらに、2008年からは、メタボリックシンドロームの予防・解消に重点を置いた特定健診(特定健康診査)が始まりました。 その結果、年齢にかかわらず、最大血圧130ミリ以上、最小血圧85ミリ以上で保健指導、最大血圧140ミリ以上、 最小血圧90ミリ以上で受診勧奨という基準が使われ始めています。