シトルリン

シトルリン』とは、1930年にスイカの果汁から発見されたアミノ酸の仲間で、 スイカの学名である「シトラス・ブルガリス」から名づけられました。 シトルリンは、 スイカだけでなくメロンやゴーヤー、ニンニクにも含まれます。 アミノ酸には、たんぱく質を構成する20種類のほかに、単独で体内を巡っている「遊離アミノ酸」があります。 シトルリンはこの遊離アミノ酸の一つで、体内で必要なときにすぐ働けることから、その作用が注目されています。

今、腎臓の濾過作用を強め、血流も大幅に増やし、高血圧を下げる特効栄養としてシトルリンが注目されています。 シトルリンは、体内で血管を広げる一酸化窒素を増やして、血圧を下げる働きが強力であることがわかってきたのです。 また、シトルリンによって腎臓の血流がよくなり腎機能が回復すれば、血圧調整ホルモンの過剰な分泌もなくなり、 血圧の安定により高血圧に大きな効果が期待できます。


■シトルリンの働き

「シトルリン」は、若返りホルモンと言われる成長ホルモンの分泌を促す作用や 有害なアンモニアを尿素に変えて排出するのを促す作用、タンパク質同化、細胞の再生、免疫力、 循環器系と肝臓のサポート力を向上、エネルギー生成のサポートなどの働きが期待できると言われています。 また、一酸化窒素の放出に深く関わっています。 体内で吸収されたシトルリンのうち、75%は腎臓で「アルギニン」に変わることがわかっています。 アルギニンは、たんぱく質を構成するアミノ酸の一種で、再びシトルリンに変換されるときに 一酸化窒素を生成することも判明しました。 一酸化窒素には、血管を拡張させて血流を促し、冷え性・手足のむくみ・血色を改善するほか、 LDL(悪玉)コレステロールの酸化を抑えて動脈硬化を防ぐ働きや疲労回復効果もあります。 また最近になって抗酸化力も発見されました。 シトルリンが、活性酸素により、遺伝子本体のDNAが傷つくのを効率よく防ぐことが明らかになりました。

アルギニンを摂取するよりも、シトルリンを摂取する方が、効率よく一酸化窒素を生み出すことができるといわれます。 アルギニンとシトルリンでは代謝の経路が異なり、シトルリンはただちに腎臓へ送られ、アルギニンとなって 全身に行き渡るためです。そのため、シトルリンを摂ると効率よく血流が改善して、 心筋梗塞や脳梗塞の危険を減らすことができます。

シトルリンの血流改善効果を証明する試験結果も報告されています。この試験では、45~65歳の男女36人に、 血流の改善によって症状が変化すると考えられる体の冷えや手足のむくみ、血色などの状態の聞き取り調査が行われました。 そして、36人を2つのグループに分け、一方にはシトルリンを1日に800ミリグラム、もう一方には同じ量の偽薬 (体に無害な偽者の薬)をそれぞれ3週間とってもらったのです。 その結果、シトルリンを摂ったグループは、偽薬を摂ったグループに比べて、 冷え性の改善の度合いが2倍も高いことがわかりました。 「手足のむくみ」「血色」においても、改善の度合いが偽薬のグループより約1.5倍高く、 シトルリンの血流改善効果が確認されています。


■高血圧と一酸化酸素

腎臓には、血液中の老廃物を濾過して尿として排泄し、血液を浄化する働きや、体内の水分量を一定に保つ働きがあり、 高血圧と密接に関わっています。そして腎臓の働きを強め、高い血圧を下げる特効栄養としてシトルリンが注目を集めています。 シトルリンは腎臓の中にある糸球体(濾過装置の働きを担う毛細血管でできた組織)を活性化して腎臓の働きを高め、 利尿作用を促進する成分として、注目されてきました。 それが最近になって、シトルリンには、体内で血管を広げる「一酸化窒素」を増やして、 血圧を下げる働きも強力であることがわかってきたのです。

一酸化窒素は、血管壁にある内皮細胞で産生・放出される気体です。 前述したように、シトルリンを摂取すると、まず体内で同じアミノ酸の一種である「アルギニン」に変換され、 そのアルギニンから、一酸化窒素が活発に作られます。 この一酸化窒素が、血管を拡張し、血流を大幅に増やすため、高血圧が改善されるのです。 また、シトルリンによって腎臓の血流がよくなり腎機能が回復すれば、血圧調整ホルモンの過剰な分泌もなくなり、 血圧の安定により高血圧に大きな効果が期待できます。