先付けトマト食事法【高血糖対策・糖尿病予防に】④

先付けトマトのやり方は簡単で、血糖減らし効果が大きいトマトを食事の最初に1個食べるだけ。


■トマトと野菜を最初に食べる

先付けトマトは、食事の最初にトマトを1個食べるという、誰でもできる食事法です。やり方はとても簡単です。 食事の際に、次の①②③の順番で食べるようにしてください。

①最初にトマトとそれ以外の野菜を食べる
毎食、最初にトマトを食べるようにしてください。トマトは大きいもので1個、プチトマトなら10個以上摂るようにしましょう。 また、トマト以外に最低でももう一品、野菜を食べるようにします。野菜には海藻やキノコ類も含まれます。 ただし、野菜の中でもジャガイモやサツマイモなどのイモ類やレンコン、カボチャ、トウモロコシは糖質が多いので、 食事の最後に食べるようにします。 トマトの種類は、夏に旬を迎える夏トマトなら「桃太郎」、冬に旬を迎える冬トマトなら「ファースト」などが代表的ですが、 銘柄は問いません。ただしフルーツトマトは糖度が高いものもあります。あまり糖度が高いものは避けるようにしてください。

②次におかずを食べる
ここでいう「おかず」とは、タンパク質を多く含む食べ物で、肉類や魚介類、卵などを使った料理を指します。 肉類はできるだけ脂身の少ないものを選びましょう。

③最後にご飯などの主食(糖質)を食べる
いわゆる主食は、食事の最後に食べます。糖質の多いものの代表は、ご飯やパン、うどんやそばなどの麺類です。 その他、お菓子などの甘いものや果物、①で述べた特に糖質の多い野菜類なども食事の最後に食べるようにしましょう。 肥満でない人ならおかずを半分残してご飯と一緒に食べても十分な効果が得られます。

■活性酸素の害を抑えて合併症も予防する

もともとトマトには、「トマトが赤くなると医者が青くなる」ということわざがあるくらい、健康に効果が大きい野菜として 知られていますが、毎日の食事にトマトを取り入れることで、血糖減らし効果が期待できます。 トマトのうま味成分であるグルタミン酸には、インスリンの作用を強めるホルモンを分泌させる作用があり、 血糖値の上昇を抑えてくれます。また、トマトには抗酸化作用や整腸作用、血流促進作用などもあり、 体の隅々まできれいにしてくれるのです。また、トマトには、抗酸化作用の強いファイトケミカル(野菜や果物に含まれる天然の 化学物質)、が豊富に含まれています。ファイトケミカルは近年発見され、タンパク質・脂質・糖質・ビタミン・ミネラル・ 食物繊維に次ぐ「第7の栄養素」として注目されています。活性酸素は病気や老化の大きな原因ですが、 糖尿病の合併症も活性酸素によって悪化します。合併症を予防するうえでも、トマトは重要な役割を果たすのです。

トマトと一緒に野菜をたくさん摂ることも、血糖減らしには重要です。 野菜に含まれる食物繊維には、腸管でブドウ糖が吸収されるのを妨げ、食後の血糖値の急上昇を抑える作用があるのです。 私は、糖尿病の患者さん15人に協力してもらって、ご飯150gと野菜サラダを、順番を変えて食べてもらって、 食後血糖値の変化やインスリン分泌の量を調べたことがあります。すると、ご飯→野菜サラダの順に食べた患者さんと比べて、 野菜サラダ→ご飯の順に食べた患者さんの方が、血糖値の上昇が緩やかなことがわかりました。
また、トマトなどの野菜を先に食べておくと、インスリンの分泌が少なくても、血糖値を低くコントロールできることもわかりました。 糖尿病の患者さんは、インスリンの分泌が悪かったり、効きが悪かったりするので、少ないインスリンで血糖値が安定するのは とても好ましいことです。

もし、先付けトマト法を試したのに血糖値が下がらないという人は、次の点をチェックしてみてください。

▼早食いしていないか
ゆっくりよく噛んで食べてください。トマトを食べてからタンパク質のおかずを食べ始めるまでに5分以上かけるのが理想です。
▼野菜の量は少なくないか
野菜は、なるべく多く摂りましょう。できれば毎食400gを目標にしてください。
▼夕食が遅くないか
夕食は遅くても9時までに済ませてください。どうしても遅くなる場合は、早めに軽く食べて、 遅く食べる分の量を減らしましょう。

なお、外食の時にはトマトの入った野菜サラダを別注文したり、トマトが手に入らない時は市販のトマトジュースで代用したりするなど、 工夫を凝らして上手に取り組んでください。