メタボ解消筋強化『8カウント腿落とし』

太腿は内臓脂肪を燃やす『メタボ解消筋』の密集帯とわかり、強めればお腹がへこみだす。

■筋肉が熱を作りだし、基礎代謝が活発になる

前ページで述べたように、下腹ポッコリや太鼓腹の 内臓脂肪太りを解消するカギは、太腿の筋肉を鍛えて基礎代謝を高め、 痩せやすい体を作ることです。私たち人間には、体温が下がらずに一定になる仕組みが備わっています。 その仕組みには筋肉の、ある能力が深く関係しています。その能力とは、熱を作り出す能力です。 筋肉が熱を作り出すことで基礎代謝も活発になるのです。 ところが年を取ることや運動不足によって筋肉量が減ると、筋肉の熱を作り出す能力が衰え、基礎代謝が低下した 内臓脂肪が溜まりやすくなり、下腹ポッコリや太鼓腹を招いてしまうのです。


また、筋肉には、全身の血液を心臓へ送り返すポンプ作用があります。 筋肉量が減ると、そのポンプ作用が弱まり、血流が悪くなります。 すると筋肉の熱を作り出す能力がさらに衰え、疲れやすい体になってしまいます。 その結果、体をあまり動かさなくなって活動代謝も低下し、太りやすくなるのです。 内臓脂肪を燃やしてお腹太りを解消するために、最も重視されるのは、太腿・お尻・腰といった下半身の筋肉です。 なぜなら、全身の筋肉の約6割が下半身にあるからです。 中でも、太腿には大腿四頭筋・ハムストリング(太腿二頭筋など)・内転筋といった大きな筋肉があり、 全身の筋肉の約4割が集中しています。 これらの太腿の大きな筋肉群を最優先に鍛えれば、筋肉の熱を作り出す能力もよくなって基礎代謝が高まり、 運動をしていない時でも内臓脂肪が燃えるようになるのです。 例えば、筋肉量の少ない腹筋だけを集中して鍛えても、内臓脂肪を燃やす効果はさほど得られません。 一方で、大腿四頭筋・ハムストリング・内転筋といった 大きな筋肉が集まった太腿の筋肉を効率よく燃やすことができるのです。 そして、内臓脂肪が効率よく燃えれば、メタボリックシンドロームの改善も期待できます。 以上のことから、太腿は、まさに「メタボ解消筋」の密集帯と呼べるのではないでしょうか。


■内臓脂肪を燃やすには、速筋と遅筋の両方必要

さらに、内臓脂肪をより効率的に燃やすには、筋肉の質も重要になります。筋肉は、筋線維という細胞が束になってできており、 速筋線維(以下、速筋と訳す)と遅筋線維(以下、遅筋と訳す)に分かれます。 速筋は、色が白いことから白筋とも呼ばれており、瞬発性に優れ、筋トレなどの無酸素運動を続けることで大きくなりやすい筋肉です。 速筋が増えれば基礎代謝が高まり、内臓脂肪が燃えやすくなる体作りが期待できます。 一方で、遅筋は色が赤いことから赤筋とも呼ばれ、耐久性に優れていますが、鍛えてもあまり大きくなりません。 ただし、遅筋をよく動かすと、エネルギー源として脂肪が利用されるため、内臓脂肪の燃焼に役立ちます。 つまり、内臓脂肪を燃やすには、速筋と遅筋の両方の働きが必要となるのです。 では、太腿の筋肉の場合、速筋と遅筋はどのくらい含まれているのでしょうか。

若い頃は、太腿の筋肉に速筋が約60%、遅筋が約40%と、絶妙の割合で含まれています。 50歳前後になると、速筋が減って遅筋が増えて、速筋と遅筋の割合が約50%ずつになり、それ以降、速筋の割合は年を取るにつれて 低下していきます。速筋が減っていく理由は、完全には解明されていませんが、速筋の働きを支配している神経が年を取るにつれて 衰えていき、もともと速筋であった筋肉が遅筋に変わっていくと考えられています。

では、速筋を中心に鍛えるには、どのような運動が必要になるのでしょうか。 速筋を中心に鍛えるには、強い負荷が必要になります。例えば、膝の曲げ伸ばしを繰り返すスクワットは、 太腿の筋肉を総動員して鍛えられる運動です。ゆっくりとした動作でスクワットを行えば、太腿の筋肉に負荷がかかり続け、 筋肉への酸素の供給量が減っていき、速筋を効率よく鍛えることができます。 そして、しゃがみこんだ姿勢から、素早く膝を伸ばす動作も、速筋を鍛えるうえで効果的です。 また、スクワットのような太腿を動かす運動をすると、太腿の筋肉に加えて、お尻の大臀筋や中臀筋、腰の大腰筋など 下半身の多くの筋肉が働くようになります。

太腿の筋肉に加え、お尻や腰の筋肉も強まれば、体の動きが機敏になったり、姿勢がよくなったりして、疲れも溜まりにくくなります。 その分、無意識のうちに体をよく動かすようになり、エネルギーの消費量がさらに増えるという好循環も期待できます。 このように、太腿を中心とした下半身の筋肉は、強めれば内臓脂肪が燃えやすくなり、お腹をへこます効果が大きいと 考えられるのです。