耳鳴り・難聴対策に『糖質制限』①

耳鳴り難聴に悩む人には糖質過多の共通点があり、血糖値が乱高下し、脳と耳の神経を傷める元凶となっています。 甘いものが好きな人ほど、耳鳴り・難聴が悪化しやすく、お菓子や甘いジュースなどをチョッピリ 『糖質制限』することで、治る人が続出しています。


■どの患者さんにも糖質の摂取を控えてもらう

以下は某クリニック院長の施術談です。

「まだ老け込む年齢でもないのに耳が聞こえにくくなった」「耳鼻科医に処方された薬を飲んでも、耳鳴りが全く改善しない」など、 自分の耳鳴りや難聴がほかの人に比べてもひどいと思っている人は意外に多いことでしょう。 私のクリニックは、癌・糖尿病・高血圧といった生活習慣病の人はもとより、さまざまな体の不調を訴える人が、 日々やってきます。そうした患者さんの中にも、自分の耳鳴りや難聴が特にひどいと訴える人が多く見受けられます。 患者さんに対して、治療の仕方はそれぞれ違いますが、どの患者さんにも必ず教え守ってもらっていることがあります。 それは、糖質の摂取を控えるということ。というのも、耳鳴りや難聴を含め、体調がひどく悪い人には、 日常生活において糖質過多の傾向がある、という共通点があるからです。


◆血糖値の上昇・低下の繰り返しが大問題

糖質とは、炭水化物と食物繊維の総称です。糖質過多というと、大抵の場合、食物繊維ではなく炭水化物の摂り過ぎをいいますが、 私が言うのは主に菓子やジュースに利用されている砂糖の摂り過ぎを言います。 現代は、朝・昼・晩の三度食事をする人が多いです。通常、三度の食後は食品に含まれる糖質の影響で、血糖値が上がります。 すると、膵臓からインスリンというホルモンが分泌されて、上った血糖値を下げようとしてくれます。 そんな中、三度の食事以外で砂糖がたっぷり含まれた菓子やジュースを摂るのが問題です。 食後に上がり、インスリンの作用で徐々に下がろうとしている血糖値が、菓子やジュースに含まれている砂糖の影響で 再び急上昇し、またそれを抑えるためにインスリンがたっぷり分泌されてしまうからです。

こうしてインスリンが再度分泌されると、その働きが強くなって今度は逆に血糖値が著しく低くなり、 脳や体ではエネルギー不足が起こります。この状態だと、脳や体の動きが悪くなるため、今度はその状態を解消するのに 脳を活気づける興奮系の脳内ホルモンがドッと放出されたり、自律神経のうちの体を活動的にする交感神経が優位になったりします。 その結果、脳内ホルモンや自立神経のバランスが崩れて脳を含めた全身の血流が一時的に悪化してしまうのです。 月に数回、血糖値の乱高下が起こるならば、特別に危惧する必要はありません。 しかし、砂糖がたっぷり含まれた菓子やジュースが大好きで習慣的に摂っているような人は問題があります。 なぜなら、菓子やジュースによる血糖値の急激な上昇と、インスリンによる血糖値の著しい低下が短い時間で繰り返される、 いわゆる血糖値の乱高下が起こっていると、常に脳内ホルモンや自律神経のバランスが崩れて血流不足に陥ってしまうからです。

血液は神経に栄養や酸素を与えているため、もし血糖値の乱高下によって血流不足に陥ると特に脳内ホルモンや自律神経を支配する 要所である脳の神経の栄養失調が起こって傷みやすくなります。脳の神経が傷めば、当然、脳や耳の聴覚神経も痛むことになり、 耳鳴り・難聴が引き起こされてしまうわけです。なお、血糖値の乱高下は、耳鳴りや難聴ばかりか、イライラ・不眠・集中力の欠如、 物忘れ、鬱、高血圧などさまざまな体の不調をもたらします。ちなみに、菓子やジュースを摂り過ぎていると、全身の硬化、 いわゆる動脈硬化が起こって血流が悪化することも同じ意味で耳鳴りや難聴の原因になります。


●血糖値の乱高下が糖尿病を招く

ところで、血糖値の乱高下が続いていると、膵臓が疲弊して、インスリンの働きが悪くなったり分泌が悪化したりしてきます。 すると、血糖値がうまく下がらなくなり、高血糖・糖尿病を招いてしまいます。 高血糖・糖尿病になったら、しっかりした食事療法などを受けて体調を管理していないと、 主に手足など末梢部の血管がもろくなって、痺れるなどの神経障害が起こります。 これを 糖尿病性神経障害 といいます。糖尿病性神経障害では脳や耳の神経も傷むため、耳鳴り・難聴が悪化しやすくなります。 この糖尿病性神経障害の場合は、炭水化物だけでなく、糖質全体の摂取量を減らすことが重要になります。 実際に、よく知られているカロリー制限ではなく、一日に摂取する糖質を極めて少なくする糖質制限食を取り入れる病医院が 増えていますが、こうした病医院では高血糖・糖尿病が改善するとともに、糖尿病性神経障害である耳鳴り・難聴も軽快する人が多いようです。 すでに高血糖・糖尿病の人は、糖質制限食を取り入れた治療を一考するのもいいでしょう。