フィブロイン
『フィブロイン』は、良質たんぱくの宝庫「絹」から発見された成分で「食べる絹」ともいわれ、 メタボリックシンドロームの原因となる内臓脂肪を減らす作用があるとされています。 フィブロインを摂れば、中性脂肪値もコレステロール値も血糖値も下がるとされ、 ある試験では検査値の改善率は6割を超えています。
■食べる絹「フィブロイン」とは?
メタボリックシンドロームの原因内臓脂肪を減らす成分
昨今、「メタボリックシンドローム」のことが話題になっています。 運動不足や食べ過ぎによって、お腹に内臓脂肪が蓄積すると、高血圧・脂質異常症・高血糖といった症状が多発します。 その結果、動脈硬化が急速に進んで、心臓病や脳卒中といった、突然死も招く重大な病気を招く危険が 格段に高まります。これがメタボリックシンドロームです。 現在、メタボリックシンドロームの解消法が、各方面で研究されていますが、 そんな中、メタボリックシンドロームの解消に抜群の効果発揮する新成分が見つかり、大きな話題を呼んでいます。
絹は、皆さんもよくご存知のように、カイコが作る繭を紡いでできる繊維です。 絹の主成分は『フィブロイン』という良質のたんぱく質で、このフィブロインにはアミノ酸が大量に含まれています。 そのため、美肌を保つために絹から作られた化粧品や食品を利用する人が少なくありませんでした。 そして、最近になって、絹からフィブロインのみを抽出して摂取すると、メタボリックシンドロームの解消に優れた効果を発揮することがわかったのです。
絹のたんぱく質はフィブロインが75%、セリシンが25%を占めています。そのうち、セリシンを完全に除去して、 純粋なフィブロインだけを取り出したものが、絹の新成分フィブロインというわけです。 フィブロインは、東京農業大学の長島孝行博士の研究によって開発されました。 長島博士の研究では、絹たんぱくには、血液中のコレステロールや中性脂肪・肝臓中の脂質の低下作用のあることが 確認されました。さらに、絹たんぱく自体の働きとしては、セリシンを除去してフィブロインを単独で使用したほうが 効果は数倍も大きい、ということも、研究でわかったのです。 つまり、メタボリックシンドロームを解消して心臓病や脳卒中といった生活習慣病を退けるには、 純粋なフィブロインだけを抽出した絹の新成分こそが最適なのです。
●フィブロインの働き
余分な脂肪を吸着し体外に排出する
では、フィブロインは、どのような仕組みでメタボリックシンドロームを改善するのでしょうか。 絹の新成分であるフィブロインの分子には、「多孔質」という分子構造があります。 これは、分子に無数の微細な穴が開いているというもの。フィブロインは難消化性(体内で消化されにくい)のため、 余分な脂肪はこの無数の微細な穴に吸着され、そのまま体外に排出されます。 すると次に、脂肪の全体量が徐々に減り、脂肪を溜め込んで肥大化していた脂肪細胞が小型化してきます。 脂肪細胞といえば、その一つ一つが内臓脂肪となって肥満や生活習慣病の原因になる、という印象が強いでしょう。 ところが、最近の研究によって、小型化した脂肪細胞からは、 「アディポネクチン」 という善玉物質が分泌されることがわかってきたのです。 アディポネクチンとは、最近見つかった体内ホルモンの一種。 動脈硬化や糖尿病・高血圧・脂質異常の予防・改善に加え、癌予防の効果があることが報告されています。 フィブロインの摂取によって脂肪細胞が小型化して体内のアディポネクチンの分泌が増えれば、 動脈硬化や糖尿病といった、メタボリックシンドロームを招く症状を予防し改善する効果が期待できます。
具体的には、アディポネクチンが増えれば、脂肪の代謝が進み、筋肉や肝臓では脂肪の燃焼が促されます。 すると、中性脂肪がどんどん消費される一方で、悪玉コレステロールが減り、反対に善玉コレステロールが増えるのです。 さらに、アディポネクチンには、インスリンの効果を高める働きがあります。 インスリンとは、膵臓から分泌されるホルモンで、血液中の糖分をエネルギーに変える働きがあります。 コレステロールが減って、小型の脂肪細胞が増えると、善玉のアディポネクチンの分泌が増え、 反対に悪玉のアディポサイトカイン(生理活性物質)の分泌が減ります。 すると、インスリンの働きを悪くするアディポサイトカイン(TNF−α、MCP−1、レジスチンなど) も減ることにより、高血糖も肥満も解消され、高血圧や脂質異常といった異常も改善されていくのです。
このようにフィブロインは、メタボリックシンドロームに対して抜群の効果を発揮するのです。
●フィブロインの効果試験
コレステロール・中性脂肪値も血糖値も低下
フィブロインがメタボリックシンドロームを改善させる効果は、ある臨床試験で確認されています。
その臨床試験では、計208人の男女(平均年齢54歳、男性15人、女性193人)に、
フィブロインを1日3回、1ヶ月にわたって摂ってもらいました(1回当たり200mg、1日の合計600mg)。
そして、フィブロインを摂る前と摂った後で、総コレステロール値・中性脂肪値・血糖値などについて、
それぞれ比較したのです。
その結果、総コレステロール値については、全参加者のうち55%の人の数値が フィブロインを摂った後、明らかに低下しました。LDL(悪玉)コレステロール値については、 全参加者のうち51%が改善。そのうち、数値が基準値(70〜139mg)以上の101人については、 58%もの人に改善が見られました。 中性脂肪値と血糖値については、きわめて高い改善率が確認されています。 フィブロインで中性脂肪値が低下した人は、全参加者のうちの59%。そのうち、基準値(35〜149mg) 以上の82人については、72%もの人の数値が下がったのです。 さらに、血糖値については65%の人が改善。血糖値が基準値(60〜109mg)以上の人に関してみれば、 改善率は80%に達しました。
中でも、特筆すべきなのは、ヘモグロビンAlcの数値の改善が、実に95%の人に見られたことです (基準値以上の23人に関しては、83%の人が改善)。 ヘモグロビンAlcとは、赤血球のヘモグロビンがブドウ糖と結びついたもので、過去1〜2ヶ月間の血糖値の推移を 知る上でとても重要な数値です。最近では、この数値を定期健診の指標にしている病医院も多くなっています。 通常、ヘモグロビンAlcは非常に下がりにくいため、これが下がるということは、フィブロインが高血糖に極めて 有効であることを示しています。 また、肝機能の数値(GOT、GPT、γ-GTP)についても、約6割の人が改善傾向を示しており、 フィブロインが肝臓の機能の向上にも何らかの作用を及ぼすと期待されています。
◆1ヶ月摂れば、楽に減量できる
上記のフィブロインの臨床試験では、基準値以上のいずれかの数値が改善した人は、参加者全体の64.4%にも及びました。 これは、薬にも匹敵する効果といってもいいかもしれません。 その臨床試験の実施に当たっては、お酒やタバコなどを禁止するといった生活上の制限を一切せずに、 ふつうの生活の中でフィブロインを摂ってもらい、集計したにもかかわらず、このような結果が出ています。 したがって、フィブロインの摂取と併せて、運動や生活習慣の見直しといったことを心がければ、 メタボリックシンドロームをより強力に撃退する効果が期待できるというわけです。 特にメタボリックシンドロームの予防には、肥満の解消が大切です。 実はフィブロインを続けて摂っている人の中には、減量に成功した人が大勢いるのです。 上記の臨床試験を行ったクリニックでは、フィブロインの臨床試験を長期間続けており、 そうした中で判明したのは、フィブロインを3ヶ月間摂り続ければ、6kgくらいは減量できるということです。 したがって、ふつうに日常生活を送りながら、フィブロインを1ヶ月摂れば、2〜3kgの減量は楽にできると 考えられます。