ラクトフェリン

私たちの生活環境には病原微生物も存在しますが、私たちが直ちに罹患することがないのは「免疫」という生体機能によるものです。 母乳、そのなかでも出産直後の3日間に出る「初乳」には、免疫機能を強く賦活する作用があり、 新生児は初乳を摂取することによって、病原微生物により容易に感染することのない免疫システムを獲得するものと考えられています。 そしてこの初乳中には、特に多くの「ラクトフェリン」というタンパク質が含まれています。 ラクトフェリンとは、哺乳類の唾液、乳汁、涙液、粘液、成熟好中球の顆粒などに広く分布する多機能性タンパク質です。 ラクトフェリンには、腸内環境を整える作用や免疫細胞を活性化する働きがあり、免疫力を高めて外部からの細菌やウィルスの感染を予防してくれます。


■ラクトフェリンとは?

腸ではたらく自然の恵み、母乳に含まれる栄養素ラクトフェリン!
免疫力を高め感染症を予防します。

『ラクトフェリン』は、1935年に、ヨーロッパの学者によって牛乳から発見されたタンパク質で、 赤い色をしていたことから”赤いタンパク質”と呼ばれていました。 牛乳には母乳の1/10ほどのごく微量のラクトフェリンが含まれています。 本来母乳に豊富に含まれている物質で、「免疫力」があまりない産まれたばかりの赤ちゃんを 様々な感染から守っています。最近の研究ではラクトフェリンには強い抗菌作用があることが分り、 免疫力を高めて大腸菌やO-157などを殺菌する作用があります。 またラクトフェリンは、腸内で善玉菌を増やして腸内環境を改善してくれます。 ラクトフェリンは、私たちの体内で常に合成されていて、涙や唾液、消化液、粘液など外界と接する部分に多く分布しています。 また、心臓や脳、骨格筋、肝臓、副腎、膵臓など、全身のあらゆる組織の表面にラクトフェリンの受け口があり、 ウィルスや病原菌から私たちの生命を守っています。


●ラクトフェリンの効用

ラクトフェリンは生命活動の要の役割を果たしている鉄の運搬、調節に関わっており、2年に1度開催されている 国際会議などを通じて、新たな生理作用が明らかになってきています。
生活習慣病やアレルギー疾患などのさまざまな現代病の原因のひつに「免疫力の低下」が挙げられます。 生活習慣病などは、加齢だけではなく、偏った食事、ストレス、過度のアルコール摂取、喫煙、 無理なダイエット、公害などの様々な環境の変化によって体内の酸化が推し進められ、 その結果として免疫力が低下することによって発症すると考えられています。

ラクトフェリンは「抗酸化作用の促進」「抗炎症作用」「悪玉バクテリアを減らして善玉バクテリアを 増やす抗ウイルス作用」「整腸作用」「免疫調節作用」などがあるといわれており、

「すぐに風邪を引いてしまう方」
「花粉症などのアレルギー体質の方」
「便秘などのお腹の調子でお困りの方」
「肌荒れやしみが気になる方」
「お酒をよく飲まれる方」
「口臭が気になる方」

に適した成分であると考えられます。


●ラクトフェリンの欠点

ラクトフェリンは絶えず体内で産生されているのですが、それでも加齢と共に減少してしまいます。 しかし、工業的な製造が可能になっても、ラクトフェリンは、水分や熱、酸、酵素などに弱く、 胃液によって分解される性質を持っているため、十分に活用できないことがわかってきました。 ラクトフェリンを人体に取り込む場所(受容体)は小腸に多く存在します。 ところが小腸の前段階には胃があり、ラクトフェリンが胃まで入ってくると、胃液の作用で分解されてしまいます。 新生児の場合は胃の働きが未熟であるため、母乳のラクトフェリンを有効活用できるのですが、成人の胃は強力な作用を 持っているため、ラクトフェリンが分解されてしまうのです。したがって、ラクトフェリンを経口摂取で補給しようとしても、 そのままの状態で摂取した場合には、胃の中で分解されてしまうのです。

そこで、ラクトフェリンを補給するに当たって、胃の中で分解されることなく腸まで届くようにするには、 特殊な加工を施したサプリメントで摂取することが有効になります。 ラクトフェリンは熱に弱いため、加熱殺菌される市販の牛乳ではほとんどが壊れて、ごく微量しか残っていません。 このため、工業的にラクトフェリンを採取する方法が考案され、今日では大量生産することが可能になりました。