コレステロールを下げる薬⑤「EPA製剤(イコサペント酸エチル)」

EPA製剤(イコサペント酸エチル)』は他の薬との併用効果が注目されています。


■魚の脂に含まれる物質から作られた薬

イワシやサバ、マグロなど、青背の魚の脂には、「イコサペント酸(EPA)」という物質が多く含まれています。 これは「不飽和脂肪酸」の1種で、動脈硬化を抑える作用があるといわれています。 アラスカやグリーンランドには「イヌイット」という狩猟民族の人々が暮らしていますが、 彼らは多量の魚をエサとしているアザラシの肉を主食とする一方、心筋梗塞を起こさないことで知られています。 これにヒントを得て、イワシの脂に「エチエステル化」という処理を施し、イコサペント酸を高い純度で抽出して 薬にしたのが『EPA製剤(エパデールなど)』です。


■スタチンと併用すると、冠動脈疾患の予防効果が高まる

EPA製剤には、中性脂肪値を10%程度下げる効果が期待できます。 中性脂肪値を下げるのがEPA製剤の主な作用であり、LDLコレステロール値に直接作用するわけではありません。 しかし、血小板の働きを抑える作用もあるため、アテロームが破れてしまった際にも、血栓ができにくくなります。 また、アテローム自体を破れにくくする作用もあるといわれています。 日本における大規模な臨床試験では、スタチンとEPA製剤を併用すると、 スタチンだけを服用した場合よりも冠動脈疾患の発症率が低下することが確認されています。

●副作用

血小板の働きが抑えられるために、歯肉などから「出血」が起こることがあります。 いったん出血するとなかなか止まらないこともまれにあるため、服用中は外傷などにも注意してください。

●適している人

動脈硬化が招く病気の発症リスクが高い人に向いています。 特に、スタチンでLDLコレステロール値をできる限り下げていて、さらに下げる必要がある場合には、併用が効果的です。