コレステロール値を下げる薬【薬物療法】

薬物療法』は、「動脈硬化」が招く病気を予防するために行われます。 そのため、薬物療法を開始する時期は、「高コレステロール血症」に加えて、 「冠動脈疾患」を発症するリスクの高さがどの程度かということから検討されます。


脂質異常症の薬物療法とは?

動脈硬化が招く病気を予防するために行う

コレステロールは、「細胞膜」の材料になるなど、私たちの体には欠かせない重要なものです。 しかし、血液中のLDLコレステロールが増えすぎると 「心筋梗塞」 などの冠動脈疾患や 「脳梗塞」などを起こすリスクが高まります。 脂質異常症の薬物療法は、動脈硬化が招くこれらの病気を予防するために行われます。 薬物療法では、主に「LDLコレステロール値」を下げる効果がある薬が使われます。 この値を下げると、冠動脈疾患の発症率や死亡率が低下することがさまざまな研究で示されています。


●薬物療法が検討されるとき

高LDLコレステロール血症は冠動脈疾患の大きな危険因子です。 しかし、薬物療法を開始する時期は、LDLコレステロール値だけでは決まりません。 一人一人の患者さんがもつ、冠動脈疾患のリスクに応じて検討されます。 治療開始時には、一人一人がもつリスクの高さに応じて「管理目標値」が設定され、 その目標値を目指した治療を行います。 冠動脈疾患を起こしたことがある人は、そうでない人に比べて極めて高いリスクを持ちます。 そのため、再発を防ぐための「二次予防」として、食生活の改善と運動、つまり生活習慣の改善と並行して、 治療開始時から薬物療法を行うことが検討されます。 冠動脈疾患を起こしたことがない場合は、これからも起こさないようにするための「一次予防」としての治療が行われます。 一次予防の治療の基本は生活習慣の改善であり、生活習慣の改善を十分に行っても管理目標値が達成できない場合に、 始めて薬物療法が検討されます。生活習慣の改善の効果を見る期間は3~6ヵ月が目安とされています。 リスクが低い場合は、それ以上の長期にわたって様子を見ることもあります。


■薬物療法の進め方

生活習慣の改善と並行して行い、定期的に副作用の有無を確認する

薬物療法は、必ず生活習慣の改善と並行して行います。”薬を飲んでいれば、食生活の改善や運動はしなくてもよい” というわけではないので、注意してください。 冠動脈疾患を起こしたことがあるような発症リスクの高い人の場合は、基本的に薬物療法を継続して行っていきます。 一方、リスクの低い人は、生活習慣の改善で値をコントロールできるようになれば、薬を減らしたり、 薬物療法の中止を検討したりすることもあります。

●定期検診

現在使われている薬の多くは、副作用の発生頻度は比較的低いのですが、まれに重い副作用が現れることがあります。 薬物療法を始めた場合は、定期的に受診し、薬の効果や、副作用の有無などについてのチェックを受けることが大切です。 検査では、肝機能や腎機能などと併せて、筋肉が障害される「横紋筋融解症」の有無の指標となる 「クレアチンキナーゼ(CK)」の値も調べます。一般に、薬物療法開始から2~3ヵ月間は毎月通院が必要ですが、 特に異常がなければ、それ以降は半年に1回程度の通院となります。