更年期からの女性の脂質異常症治療法「生活習慣の改善②運動」

更年期からの女性の脂質異常症治療での生活習慣の改善で食生活の改善と同様に重要なのが運動です。 運動により、ダイレクトにLDLコレステロール値が低下するというわけではありませんが、 運動をすると中性脂肪が消費されるので、肥満解消につながり、HDLコレステロール値が上昇します。 また、運動をして中性脂肪を消費することで、LDLの”質”が落ちるのを防ぐことができます。


中性脂肪値を下げるとLDLも良い影響を受ける

食生活の改善と同様に重要なのが、運動です。運動をすることで、直接LDLコレステロール値が下がるというわけではありません。 しかし、運動をすると中性脂肪が消費されるため、肥満解消に繋がり、「HDLコレステロール値」は上昇します。 また、中性脂肪値が高いと「LDL」が小型化し、動脈硬化を促進しやすくなります。 運動をして中性脂肪を消費することで、LDLの”質”が落ちるのを防ぐことができます。 このような点で、運動には冠動脈疾患の予防効果が期待できるのです。

運動のメリットは、その他にもたくさんあります。全身の細胞が「ブドウ糖」を吸収するときに働くホルモンである 「インスリン」の効きがよくなるため、「糖尿病」の予防や、 「メタボリックシンドローム」の解消にもつながります。 「骨密度」が増加し、「骨粗鬆症」の予防にもなります。 また、運動には、免疫機能を高める効果があるとも考えられています。 運動と食生活の改善を並行して行うと、一層効果が高まります。


■うまく時間を見つけて運動を行うのがお勧め

最も効果のある運動は、太腿やお尻の大きな筋肉を使って、酸素を体内に取り入れながら行う「有酸素運動」です。 具体的には「ウォーキング」「水中運動」 「サイクリング」「ラジオ体操」などで、 運動の強さは、例えばウォーキングなら、歩きながら会話ができる程度が最適です。 「1日30分以上、週3回以上」が運動の目安ですが、難しい場合は、できそうな範囲で目標を立て、 少しずつ時間や回数を増やしていきましょう。まとまった時間が取れない場合は、小分けにしてもかまいません。 例えば、30分の運動の代わりに、10分間の運動を3回行ってもよいのです。


■膝を傷めたり、病気を悪化させたりしないよう、無理せず行う

特に肥満があると、運動を始めた途端に、腰や膝を痛めてしまうことがあります。 それで運動ができなくなっては逆効果なので、絶対に無理はしないでください。 運動の前後には、ウォーミングアップとクーリングダウンを必ず行いましょう。 運動はできる範囲から始めて、ペースを上げる場合は少しずつ上げていきます。
体調がよくないと感じたら、運動を休むことも必要です。猛暑や厳冬期などは、運動を控えたほうが良よいでしょう。 また、冠動脈疾患は血圧が上昇する早朝に起こりやすいので、朝の運動にも要注意です。 「心疾患」「高血圧」「糖尿病」「腎疾患」などがある人は、悪化する恐れがあるため、 あらかじめ担当医に相談してから、運動を始めてください。
特別な運動でなくても、日常生活の中で体を動かすことが大切です。 わざと遠くのお店まで歩いて買い物に行ったり、エスカレーターやエレベーターの代わりに階段を使ったり、 丹念に家の掃除を行うなど、こまめに体を動かすことが大切です。運動は、”頭脳戦”です。


●運動のポイント

▼運動の強さ
【会話をしながら行うことができる程度の強さが目安】
ウォーキングでは、話しながら続けて行える程度の速さが最適。
▼運動量の目安
【1日合計30分以上の運動を、週3回以上行うのが目標】
家事や仕事でなく、まとまった時間が取れない場合は、できる範囲から始めて、 そこから徐々に時間や回数を増やしていくとよい。

●運動を行うときの注意

  • 肥満があると膝を傷めやすいため、無理はしない。
  • 体調が悪いときは休む。
  • 心疾患、高血圧、糖尿病、腎疾患などがある人は担当医に相談する。
  • 早朝の運動では血圧の急上昇に注意する。
  • 猛暑、厳冬期には運動を控える。
  • ウォーミングアップ、クーリングダウンを行う。

運動を行うときに大切なことは、”逃げ道”をつくること。 運動を始めたからといって、必ず毎日同じように行わなければならないというわけではない。 体調が悪いときや、猛暑や厳冬期などは無理せずに休む。