■隠れ肥満
体重だけを気にしてはいけない
「肥満」がさまざまな生活習慣病の原因になることは、よく知れれている事実です。 それもあって、ダイエットブームが到来したわけですが、体重だけに目を向けて一喜一憂するのは大きな間違いです。 なぜなら、見た目は太っていなくても、実は体に脂肪が多い「隠れ肥満」の人が、中高年ばかりか 若い世代の男女にも増えているからです。特に、見た目は痩せているのに、ウェスト周りや二の腕が太いとか、 中年になって急にお腹がせり出してきたという人は、隠れ肥満の可能性が大です。 肥満とは、単に体重が多いことではなく、体に占める脂肪の割合が多い状態を指しているのです。 したがって、自分が肥満かどうかを知るには、見た目や体重だけにとらわれず、体脂肪率にも目を向けることが必要です。
●無理な減量は筋肉を減らす
では、なぜ隠れ肥満の人が増えているのでしょうか。その最大原因として、無理な減量や運動不足によって筋肉が衰え、 体脂肪が燃えにくくなっていることがあげられます。現代人は、仕事や学業が忙しすぎることに加えて、 ゲーム、パソコン、ビデオ鑑賞など、屋内で行える趣味に熱中しがちです。 すると、どうしても運動不足になります。運動する習慣がほとんどない人は、脂肪を燃やすために必要な筋肉が 衰えやすくなります。その上、標準並みか標準以下であるのにダイエットに取り組み、無理な減量とリバウンド を繰り返していると、筋肉は減って体脂肪が増えてしまいます。体重が減るときは、体脂肪と一緒に筋肉も減ります。 そして、リバウンドするときには、筋肉は増えずに脂肪だけが増えるのです。 そのため、減量とリバウンド、つまり体重の増減を繰り返していれば、本人も気づかないうちに体脂肪率が高くなり、 隠れ肥満が進んでしまうというわけです。
一方、筋肉量が減ると、基礎代謝量が低下して脂肪が燃えにくくなり、太りやすくなることもわかっています。 反対に、適度な運動を習慣的に行っていれば、筋肉量の減少は抑えられ、基礎代謝量の低下も防ぐことができます。 しかし、女性に比べて筋肉量が多い男性でも、中年になれば筋肉量は自然に減ってきます。 それにもかかわらず、運動をしないで、若いころと同じ量の食事を摂っていれば、体脂肪率が高くなっていくのは 当然の結果です。最近は、家庭でも簡単に体脂肪率を調べることができる、体脂肪計付きの体重計が市販されています。 隠れ肥満を見つけるためにも、日ごろから体重だけでなく、体脂肪率もチェックするようにしましょう。
【関連サイト】:『体組成計(インナースキャン)』
●無理な食事制限が隠れ肥満を招く
隠れ肥満かどうかを簡単に調べるには、体脂肪率(体重に占める脂肪の割合)を測るのが一番です。 体脂肪率の正常範囲は、男性が15~20%、女性が20~25%で、それぞれ25%、30%を超えると肥満と判定されます。 体重が多くても体脂肪率が低ければ、隠れ肥満の心配はありません。 反対に、体重は標準的でも、体脂肪率が低ければ隠れ肥満で、筋肉を減らさずに余分な脂肪を減らすことが必要です。 では、どうすれば隠れ肥満を解消できるのでしょうか。
ウォーキングや水泳といった有酸素運動には、筋肉を鍛えながら脂肪を燃焼させる効果があり、体脂肪率を下げるのにとても有効です。 ところが、隠れ肥満だと見た目は太っていないので、運動してまで脂肪を減らそうとはしない人が多いようです。 自分が隠れ肥満であることを知った人は、食事を抜いたり、食事量を大幅に減らしたりして、 手っ取り早く体脂肪を減らそうとしがちなのです。しかし、無理な食事制限を行えば、空腹に耐え切れず、 元の食事量に戻るか、以前よりも多い量を食べるようになります。 無理な食事制限で筋肉量が減っているのに、食べる量が依然と同じでは、当然、脂肪は燃え残って体にたまります。 その結果、体重は減ったのに下腹がポコッと出たり、二の腕やお尻がボテッと垂れ下がったりするわけです。 実は、そうした運動嫌いの人が隠れ肥満を解消するのに、とても都合のいい食品があります。 それは、私たち日本人に身近な食品である「大豆」です。