片頭痛

慢性頭痛の約25%が片頭痛ともいわれますが、痛みが強く、生活に支障を来しやすいため、頭痛を訴えて医療機関を受診する人には最も多いものです。 片頭痛でつらい痛みを我慢している人は少なくありませんが、日常生活に支障がある場合は医療機関を受診しましょう。 適切に薬を使うことで、症状をコントロールすることが可能になってきています。

■主な頭痛のタイプ

慢性頭痛に加え、病気による二次性頭痛がある
脈打つような痛み

原因となる病気がなく、繰り返す頭痛を慢性頭痛といいます。 15歳以上の日本人の約40%に当たるおよそ4000万人が、慢性頭痛に悩まされているとされています。 慢性頭痛には、片頭痛、緊張型頭痛、群発頭痛、薬の使い過ぎによる頭痛などがあります。
慢性頭痛とは別に、何らかの症状の1つとして頭痛が起こる二次性頭痛があります。 特に、50歳以上で初めて強い頭痛が起こった場合、二次性頭痛が疑われることがあります。 二次性頭痛を起こす病気の中には、くも膜下出血髄膜炎脳腫瘍など、命に関わる危険なものがあります。 今までに経験したことがないような頭痛が起きた場合や、痛みが強くなった場合は、これらの病気の可能性もあるので、直ちに医療機関を受診しましょう。


■片頭痛とは?

患者数が多く特に女性が増えている
脳の血管の周囲の炎症や血管の拡張が神経を刺激する

片頭痛は、慢性頭痛の1つで悩んでいる人も多く片頭痛がある人は、日本では約840万人と推計され、男性より女性に多く見られます。 片頭痛は、脈を打つようにズキンズキンと痛み、動くと痛みが悪化するため、片頭痛が始まると動けなくなります。 その結果、仕事や家事、子育てなどの日常生活に、支障が出てしまうこともよくあります。 痛む場所は、頭の片側が痛む人が約6割、両側が痛む人が約4割とされています。
片頭痛が起こる原因は、については、さまざまな説がありますが、最近は、様々な要因によって脳の視床下部が刺激を受け、 脳の周囲の「血管」とその周囲を取り巻く「三叉神経」の周囲に炎症が起こったり、 脳の血管が拡張したりすることで痛みが起こるという考え方が主流です。 三叉神経が過敏になると、さまざまな神経伝達物質が放出され、血管やその周囲に炎症が起こったり、血管が拡張したりします。 それらの刺激で三叉神経の過敏性が増し、さらに炎症や血管の拡張が広がります。 拡張した血管が三叉神経を圧迫し、三叉神経がこれを痛みの信号として脳に送るので、脈打つような痛みが起こると考えられています。 また、このとき、血管の拡張や収縮に関係する神経伝達物質(セロトニン)の分泌に、乱れが生じることもわかっています。
視床下部は、女性ホルモンの分泌や睡眠、食欲などを司っているため、月経排卵、出産、更年期、寝不足や寝過ぎ、空腹 などが誘因になると考えられています。また、視床下部は、自律神経も司っているため、ストレスやストレスからの解放、まぶしい光、強いにおい、 人混みや騒音、天候の変化、温度の変化や高い湿度、アルコールなども、片頭痛を起こす誘因になると考えられます。


●痛みが起こりやすいとき

いつ起こるのかは人によって異なります。仕事から解放された週末に起こる人もいれば、たばこや香水などの においをかいだときに起こる人もいます。女性の場合には、月経の前後に起こることもよくあります。


■片頭痛の症状

我慢できないほどの頭痛で、仕事や家事に支障を来す

片頭痛は、次のような症状から診断されます。

  • ▼痛みが4~72時間(3日間)続きます。
  • ▼脳の血管が異常に拡張して、強い頭痛が発作的に起こります。 典型的には頭の片側がズキンズキンと脈打つように痛みますが、両側が痛む場合も少なくありません。
  • ▼仕事や家事に支障を来す。または我慢できないくらいの強い痛みがある。
  • ▼動くと痛みが悪化する。
  • ▼痛みが強く、寝込んでしまうこともあります。「動くと痛みが悪化する」「吐き気がある」 「光や音に敏感になる」などの症状が起こりやすいという特徴もあります。
  • ▼起こる頻度はさまざまですが、”ときどき起こる強い頭痛”は片頭痛の可能性が高いといえます。

片頭痛の予兆として空腹感や生あくび、イライラ、手足のむくみなどが起こることもあります。 また、片頭痛では1~2割の人に前兆が見られます。その代表的なものが閃輝暗点です。 視野の中央にギザギザした光が現れ、5~60分間ほど続き、閃輝暗点に伴って、あるいは閃輝暗点が消えてから60分以内に頭痛が起こります。


●片頭痛と緊張型頭痛の違い

次の症状のうち1つでもあれば、片頭痛の可能性があり、2つ以上あれば片頭痛の可能性が高いと考えられます。

  • ▼痛みで寝込んでしまうことがある
  • ▼動くと痛みが悪化する
  • ▼吐き気を催す
  • ▼光や音に敏感になる


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■関連項目