【質問】子供の片頭痛について教えてください
10歳の娘が1年ほど前から、年に1~2回、頭痛、嘔吐を訴えるようになりました。 小児科を受診し、血液検査もしましたが、特に異常はなく 「片頭痛」と診断されました。 家族にはほかに”頭痛持ち”はおりません。大人の片頭痛薬は強すぎるとのことで、「カロナール」を処方されました。 痛くなったらどうしようと本人が不安に陥っています。子供の片頭痛について教えてください。
【答】
「片頭痛」は家系で遺伝することが多く、
特に母親から子供へと遺伝することにより発症します。
発症には特徴があり、多くの場合、隔世で症状が強く出ます。
母親は、片頭痛があっても軽く、例えば月経前後の肩こり程度で、
光や音に過敏になったり吐き気や嘔吐を伴った寝込んでしまうような片頭痛の特徴はほとんど見られないため、
片頭痛と認識していない場合が多いのです。
また、母方の祖母も若いときには片頭痛があった可能性が高いのですが、年を取って頭痛は消失し、
片頭痛本来の脳の興奮性の高さのみが残存して、耳鳴りやめまいなどに変化し、”頭痛持ち”という認識がない場合もあります。
また、片頭痛を発症する子供は脳の過敏性が高く、例えば、寝相が悪い、寝言が多い、乗り物酔いをする、もしくは
「夜驚症」や「熱性痙攣」の既往があることが多いようです。
発症に関しては12歳以下では男女差はあまりありませんが、それ以降になると圧倒的に女児に多くなるのは、
片頭痛と女性ホルモンの間に密接な関連があるためと考えられています。
従って、男児の場合は、幼稚園の年長組や小学校の低学年のころが多いのに対して、
女児の場合は初潮を迎える小学校の高学年もしくは中学生くらいで発症することが多いように思われます。
また、子供の片頭痛は大人の片頭痛とは異なり、例えば頭痛の持続時間は、大人が3日くらい続くのに対して、
子供では半日以内で終わり、さらに痛みの立ち上がりも急激で、かつ、頭痛時の脳の興奮状態も激烈であるため、
急激に痛がり、泣きわめいたり、のたうちまわったりすることも多いのですが、大人は頭痛の最中はあまり動かず、じっと寝込んでいることが多いのです。
治療としては、痛みを抑え、子供でも安全とされている「アセトアミノフェン」や「イブプロフェン」を第一選択薬として処方しますが、
それでも治まらないような興奮性の高い激烈な頭痛発作に対しては、大人の片頭痛で処方する「トリプタン製剤」を、
年齢と体重に合わせて処方することもあります。
同じような症状を来す
「もやもや病」や
「てんかん」などを、
頭部画像検査や脳波検査で除外する必要もありますので、まずは頭痛専門の医師を受診することをお勧めします。
(この答えは、2020年1月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)