ジェネリック医薬品
・医療用薬品には、「先発医薬品」と「ジェネリック医薬品」がある。
・ジェネリック医薬品を使うと、飲みやすくなったり、安価になる場合がある。
・ジェネリック医薬品を使いたいときは、医師や薬剤師に遠慮なく相談する。
■ジェネリック医薬品
先発医薬品と比べて使いやすく、安価な場合が多い
医師によって処方される薬には、新しく開発されて発売された「先発医薬品(新薬)」と 先発医薬品の有効成分に関わる物質の特許期間を過ぎた後に作られて発売される「後発医薬品」があります。 後者を「ジェネリック医薬品」とも呼びます。 薬は基本的に「有効成分」と「添加剤」で構成されています。有効成分は病状や症状に効くもの、 添加剤は色を付けて有用性を高める着色剤や、品質の安定化を図ったりするものなどを指します。 ジェネリック医薬品の有効成分は先発医薬品と同じで、ほぼ同等の効果が期待できます。 しかし、添加剤が異なる場合があるため、「効果は全く同じ」といえない場合もあります。
◆使うメリット
ジェネリック医薬品を使う大きなメリットとして、次の2つが挙げられます。
- ▼薬が使いやすいように工夫されている
- 特許が切れるまでの長い年月の間に製薬技術は進歩しているので、例えば、先発医薬品では大きなカプセルや錠剤だった形状を、 ジェネリック医薬品では小さくして、飲みやすく工夫したものなどがあります。
- ▼価格が安い
- 先発医薬品を開発するためには、有効成分を見つけることに始まり、それが本当に効果があり,安全であるかどうかを 確認するために、十数年もの長い期間と数百億円もの投資が必要といわれています。 それらの研究開発にかかるコストは薬の価格に反映されます。しかし、ジェネリック医薬品の場合、 すでに効果や安全性などが確認されている有効成分を利用するため、研究開発費を抑えることができ、 基本的に薬の価格を安く設定することができます。一概には言えませんが、先発医薬品より3~5割程度安くなる場合が多いといわれています。
「どの会社のジェネリック医薬品を選ぶか」「窓口の自己負担額」などによっても薬の総額は異なります。 中には、安くはならないケースもありますので、薬剤師に相談してみてください。 日本ジェネリック製薬協会のホームページで、今使っている薬との差額を調べることが可能です。
●変更を希望する場合
ジェネリック医薬品の使用は医師や薬剤師に相談する
有効成分の特許が切れていない場合やジェネリック医薬品が作られていない場合などもあり、すべての先発医薬品に対して
ジェネリック医薬品があるわけではありません。一方、1つの先発医薬品に複数のジェネリック医薬品が発売されているケースもあります。
現状では、高血圧や糖尿病、脂質異常症、喘息などの病気には多数のジェネリック医薬品が作られています。
自分が処方された薬がジェネリック医薬品に変更できるかどうかは、医師や薬剤師に相談してみてください。
また、日本ジェネリック医薬品学会のホームページでは、ジェネリック医薬品の検索ができます。
最近では、処方された薬を薬局で受け取るときに手渡される「薬剤情報提供文書」に、現在使っている先発医薬品に
ジェネリック医薬品があれば、その名称が記載されるようになりました。処方箋にジェネリック医薬品への変更不可の印との説明を受け、
医師の署名がなければ、医師に相談しなくても、患者さん自身が薬局で変更するかどうかを決めることができます。
その際には、薬剤師から、該当するジェネリック医薬品が先発医薬品とどう違うのか、金額がどの程度安くなるのかなどについて
確認しながら変更することが勧められます。例えば、アルコールに弱い体質の人の場合、変更したいジェネリック
医薬品の添加剤にアルコールが使われていれば、その薬は使わない方がよいということになります。
ジェネリック医薬品に限らず、薬の添加剤の種類によっては、患者さんに合わない場合があります。
特に何らかのアレルギーがある人は、その旨をあらかじめ医師あるいは薬剤師にしっかりと伝え、自分に合った薬の処方を受けることが大切です。
また、複数の薬を使っていて、そのうちの数種類がジェネリック医薬品に変更できるとわかった場合は、
1種類ずつ試し、自分に合っているかどうかなどの様子を見ながら慎重に変更していきます。
1度に複数の薬を替えると、もし不都合なことが現れた場合に、どの薬が原因なのかを特定するのが難しいためです。
◆分割調剤
ジェネリック医薬品を利用してみたいと思っていても、自分に合う薬なのかどうかがわからず心配だという人には、 「分割調剤」が勧められます。これはジェネリック医薬品を短期間試すことができる方法です。 例えば、生活習慣病など慢性的な病気で症状が安定している患者さんの場合、90日分などの長期間の薬が処方されているケースがあります。 この患者さんがジェネリック医薬品を使うとき、1度に変更してしまうと、初めての薬を90日間も 飲み続けるのを不安に感じることがあります。このような場合、分割調剤により、例えば数週間だけ試すことができます。 もし合わないと感じた場合には、これまで使っていたいた薬に戻し、何もなかった場合には、そのままジェネリック医薬品を使い続けることができます。 分割調剤を利用したい場合は、薬剤師に相談してみてください。