■膀胱瘤の手術について教えてください

2年ほど前から膀胱瘤が進んできました。頻尿があり運動も制限されるので、脚力が低下してきています。 今はフェミクッション(薬)で対応していますが、やはり手術をして煩わしさから解放されたいと思っています。 手術の方法やリスクについて教えてください。また、術後はどのくらいで日常生活に戻れるのでしょうか。
●60歳代・女性
●BMIは24.8


【答】

骨盤内にある臓器は、骨盤底と呼ばれる筋肉や筋膜、靱帯によって支えられており、これらが緩むことによって膣から体外に臓器が出てくるのが 「骨盤臓器脱」です。 緩む場所により脱出してくる臓器が異なり、膀胱と膣の間の筋膜が緩むと「膀胱瘤」が生じます。 膀胱瘤は骨盤臓器脱の中で最も多く、歩行時の違和感や頻尿が初期症状です。 進行すると排尿困難が生じ、日常の生活に支障を来すこともあります。 骨盤臓器脱の最大の原因は出産です。胎児が膣を通る際には骨盤底の筋膜や靱帯が損傷を受け、さらに加齢などによってたるみが生じると臓器が脱出します。 また、肥満、便秘による排便時の息み、喘息などの慢性の咳、重いものを持つなど腹圧がかかりやすい状態が続くと、骨盤内の臓器が下がりやすくなります。 膀胱瘤の症状が夕方に強くなるのは、日中の様々な動作で腹圧がかかり、臓器を押し下げるからです。

根本的な治療法は手術ですが、まずは腹圧のかかる生活の見直しと、膣と肛門を締める「骨盤底筋体操」を行い、症状の緩和を図ります。 軽症のうちは「リングペッサリー」という装具を用いるのも有効です。 手術は、膣から子宮を摘出して、膀胱と膣の間の筋膜を補強する方法が従来から行われてきました。 この方法は安全性が高いのですが、膀胱瘤の場合は再発がやや多いのが欠点です。 そこで10年ほど前からは、膣と膀胱の間にメッシュを挿入して膀胱を支える「経腟メッシュ手術」が行われるようになっています。 これは子宮を摘出せず、再発も少ないのが利点です。 ただ、時に術中に膀胱損傷や出血が起こる、術後に痛みが生じる、メッシュが膣壁から露出するなどの欠点もあります。 術後の回復は早く、2週間程度で社会復帰が可能でしょう。ただし、術後3ヵ月ほどは腹圧のかかるような行為は控える必要があります。

近年、腹腔鏡という内視鏡を用いて、メッシュで子宮膣部と膀胱を吊り上げて仙骨(骨盤の一部)に固定する「腹腔鏡下仙骨膣固定術」 が普及してきました。膀胱だけでなく子宮も下がっている場合に有効な方法で、再発が少なく、経腟メッシュ手術よりメッシュの露出が少ないのも利点です。 欠点は手術時間が長いことですが、患者さんの回復は早く、2週間程度で社会復帰できます。 経腟メッシュ手術、腹腔鏡下仙骨膣固定術ともに安全・確実に行うのには経験が必要なので、骨盤臓器脱を専門診療している医師を受診するとよいでしょう。

(この答えは、2018年2月現在のものです。医療は日々進歩しているので、後日変わることもあるのでご了承ください。)