【質問】糖尿病の治療を受けてもHbA1cが上がっています
7年ほど前から糖尿病で、病院に通っています。
HbA1cは7.0%前後で、よくならない程度か、むしろ数値は少し上がっています。
薬もだんだん増えています。今後どのようにしていけばよいでしょうか?
●72歳・男性
【答】
ご質問者は、約7年前に糖尿病を発症し、現在はHbA1cが以前よりも少し上がって7.0%前後ということですから、
これまでは合併症予防のための目標値であるHbA1c7%未満を達成できていたものと思われます。
糖尿病では、年数を経るごとに血糖値が次第に上昇することは、しばしばみられます。
その理由は、高齢になるにつれて膵臓からのインスリン分泌が低下するとともに、筋肉量の減少や内臓脂肪の増加などに伴って、
体内におけるインスリンの効きが少しずつ悪くなるからです。
そこで今回のご質問ですが、今後、薬の種類や量をさらに増やしながら、合併症予防のための目標値であるHbA1c7.0%未満に厳格にコントロールするのがよいのか、
それともHbA1cが7.0%を少々超えてもよいのか、といった内容になると思います。
ポイントは、現在の72歳という年齢です。糖尿病の治療は、合併症の発症や進展を阻止して、健康な人と変わらない日常生活の質を維持することが一番の目標です。
高齢になると、糖尿病のほかにも、さまざまな病気を併発することも多く、服用する薬の種類も増加しがちです。
薬が増えれば増えるほど、それによる副作用も出やすくなります。
従って、糖尿病の合併症の発症・進展リスクが低いのであれば、薬の種類はなるべく増やしたくありません。
もう1つのポイントは、薬の内容です。糖尿病の薬の中には、インスリンやスルホニル尿素(SU)薬のように、
特に高齢者で重症の低血糖を起こしやすい薬もあります。
HbA1cを7.0%未満にコントロールできたとしても、重症の低血糖が起これば、そのほうがむしろ問題になります。
もし、ご質問者がSU薬をすでに服用されているのであれば、重症の低血糖を起こさないために、
目標のHbA1cは7.0%よりももう少し高めに設定し、現在のままでもよいと思われます。
このように、現在の年齢や合併症の有無や程度、服用する薬の内容などによって、目標とするHbA1cを個別に設定する必要がありますので、
担当医とよく相談していただくのがよいと思います。
(この答えは、2020年4月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)