【質問】数年前に1型糖尿病と診断されました。どのような病態か教えてください。

若い頃より「2型糖尿病」と診断され、治療を受けてきました。 数年前に 「低血糖」で救急搬送されたときに、 専門医に「1型糖尿病」と診断され、 インスリン療法を始めましたが、戸惑っています。 どのような病態か教えてください。
●70歳代・男性


【答】

「1型糖尿病」は、 インスリンというホルモンを産生している膵臓の細胞が破壊されて起こる病気です。 インスリンは栄養素、特に糖をエネルギーとして使ったり、貯蔵したりするのになくてはならないホルモンです。 1型糖尿病ではインスリンが作られない(絶対的に欠乏する)ので、糖をエネルギーとしてうまく使えなくなります。 その結果、力が出ない、疲れやすいといった症状が出ます。また、糖を蓄えることができないので痩せていきます。
体内の臓器でうまく利用できなくなった糖は血液中に停滞するため、血糖値が上昇し(高血糖)、余った糖が尿に溢れ出ます(尿糖)。 尿糖が出ると尿量が増えて、頻繁にトイレに行くようになります(多尿)。 多尿で水分を失うため、体は水不足になり(脱水)、喉が渇いて(口渇)、水をたくさん飲むようになります(多飲)。 放っておくと、意識障害・昏睡といった危機的な状況になります。
1型糖尿病の典型例は、口渇、多飲、多尿、体重減少といった症状で突然発症し、比較的短期間のうちにインスリンが絶対的に足りなくなって、 インスリン注射をしなければ生命を維持できなくなります。 一方、インスリンを産生する細胞の破壊が比較的緩やかに進行し、年単位で徐々にインスリン欠乏が進行する場合もあります。 これを「緩徐進行1型糖尿病」と呼びます。 この場合、初期にはインスリンがある程度産生されるので、一見すると「2型糖尿病」と区別がつきません。 しかし、時間の経過とともにインスリン分泌は徐々に低下し、やがてインスリンの絶対的欠乏に至ります。

ご質問の内容から推察いたしますと、お尋ねの病態は、緩徐進行1型糖尿病の可能性が高いと思います。 血液検査で「膵島関連自己抗体(GAD抗体など)」が検出されることで、2型糖尿病と区別がつきます。 インスリン欠乏の進行を抑制・軽減するためには、早期からインスリン療法を行うことが望ましいとされていますので、 現在行っているインスリン治療を継続していただくことが大切です。

(この答えは、2020年6月現在のものです。医療は日々進歩しているため、後日変わることもあるのでご了承ください。)