■質問:未破裂脳動脈瘤の手術ができない理由を教えてください。
「未破裂脳動脈瘤」と診断されました。「脳の真ん中の血管にあるので、手術や血管内治療ができないと言われ、 年に1度のMRI検査で様子を見ることになりました。手術や血管内治療ができない理由を教えてください。(50歳代・女性)
【答】
「未破裂脳動脈瘤」の手術にはクリッピング術があります。脳動脈瘤の根元を金属製のクリップで挟み、血液がこぶの中に入らないようにして破裂を防ぎます。
血管内治療にはコイル塞栓術があります。脚の付け根の動脈からカテーテルを入れ、脳の血管まで送り込み、脳動脈瘤の中に金属製のコイルを詰める治療です。
クリッピング術は、脳動脈瘤が脳の深部にあると治療が難しく行えません。ご質問に「脳の真ん中の血管にある」と書かれているので、
脳の深部の動脈瘤と推察されます。無理に手術を行うと、脳を損傷する可能性があります。
コイル塞栓術は、カテーテルが到達すれば治療が行えますが、細い血管にはカテーテルを進められません。
具体的には、脳主幹動脈の第1分岐までしか進めることができません。第2分岐の先に脳動脈瘤ができていると治療が行えないのです。
手術も血管内治療も行えないケースでは、MRI検査での経過観察になります。
脳動脈瘤の現在の大きさが不明ですが、脳の深部の脳動脈瘤は細い血管にできることが多いため、恐らく小さいと考えられます。
一般的に、脳動脈瘤は小さいほど破裂の危険性が低いことがわかっています。
あまり心配し過ぎないようにしてください。
また、脳動脈瘤の破裂を防ぐには、血圧、血中脂質、血糖のコントロールなど、動脈硬化を進行させない努力が必要です。
喫煙している人は禁煙も重要です。
(この答えは、2017年9月現在のものです。医療は日々進歩しているので、後日変わることもあるのでご了承ください。)