大腸癌のステージと早期の大腸癌の治療



■大腸癌のステージ

大腸の壁は5層から成ります。大腸癌は、最も内側にある粘膜に発生し、壁の外側へと広がりながら進行していきます。 その癌の深さによって、5段階に分類されます。 癌が粘膜下層にまで及ぶと、リンパ節や他の臓器へ転移する危険性が出てきます。

▼ステージ0
癌が大腸の粘膜にとどまっている。
▼ステージⅠ
癌が大腸の粘膜下層あるいは固有筋層にとどまっている。リンパ節転移はない。
▼ステージⅡ
癌が固有筋層を超えて広がっていて、リンパ節転移はない。
▼ステージⅢ
癌の深さに関係なくリンパ節転移がある。
▼ステージⅣ
癌が肝臓や肺などのほかの臓器に転移したり、お腹の中に散らばっている(腹膜播腫)。

●早期の大腸癌の治療

内視鏡治療

癌の直径が2cm以内で、癌が粘膜か「粘膜下層」の上部1mm程度までにとどまっている場合、 「内視鏡治療」が可能です。主に「ポリペクトミー」や「内視鏡的粘膜切除術」が行われます。 内視鏡治療の長所は、開腹せずに癌を切除できるので、体への負担が少なくてすむことです。 一方短所は、癌を取り残す危険性があることと、まれに、出血が起きたり、 処置を行った部位に孔が開く場合があることです。 内視鏡治療で大腸癌の完治を目指すには、やはり早期発見が大切です。 内視鏡治療は、開腹せずに癌を切除できるので、体への負担が少ない治療法です。 入院が必要な場合もありますが、多くは外来で行われます。 次の2つの方法があります。

▼ポリペクトミー
きのこ状の茎のある癌の場合、内視鏡から出したスネア(金属の輪)を茎にかけて締め、 スネアに高周波の電流を流し、癌を根元から焼き切ります。

▼内視鏡的粘膜切除術(EMR)
平坦な癌の場合、癌の下の部分に内視鏡の先から生理食塩水を注入し、癌の部分を膨らませます。 膨らんだ部分にスネアをかけて締め、高周波電流を流して焼き切ります。

このような内視鏡治療は、体への負担が少なくて済む反面、リスクも伴います。 具体的には、大腸の壁は胃などに比べて薄いので、電流を流すことで、まれに処置した部分に孔が開いたり、 出血が起きたりすることがあります。また、癌を取り残す危険性も否定できません。 なお、内視鏡治療で切除した癌を顕微鏡で調べた結果、リンパ節へ転移している可能性が高いと判断された場合、 開腹手術を追加して行うかどうかは、主治医と患者さんが十分に相談して決めます。