肝機能向上・改善・強化
『肝臓』は、私たちの血液の浄化と解毒を司る臓器です。 重要な物事を指して、肝臓の肝の字を使った「肝心」「肝要」という言葉が生まれるほど、大変重要な役割を担っています。 成人の肝臓の重さは、およそ1000グラムから1500グラムくらい。その細胞の一つひとつが、血液を浄化し、有害物質を解毒します。 お腹の痛みは感じても、直接、肝臓の痛みを感じることはありません。 「もの言わぬ臓器」と知りつつ、ついつい肝臓を酷使すると、気付いた時は取り返しのつかない状態になっていたということがよくあります。 血液の濾過工場である肝臓をいたわることが、血をきれいで健康に保ち「気」を養うことにも繋がるのです。 肝臓は本来、再生力の高い、強い臓器です。弱ってもなかなか悲鳴を上げませんが、機能が衰えていると分かれば助けが必要です。 少しでも早く回復してあげましょう。
■肝機能強化
肝臓の仕事を理解して、いたわる生活を
肝臓は「化学工場」に例えられることがあります。
例えば肝臓は食物が体に取り込まれると、
ブドウ糖をグリコーゲンに、
アミノ酸を組み合わせて
たんぱく質にと、体が利用できる形に作り変えます。
肝臓はまた、有害物質を分解して無毒化する解毒作業を行います。
アルコールが肝臓で分解されることはよく知られていますが、分解の過程でできるアセトアルデヒドという物質は、
強い毒性を持っており、肝臓はこれを最終的には水や二酸化炭素にして排出します。
そのほか、脂肪の消化に必要な胆汁も肝臓で生産されますし、腸内の異物を肝臓のクッパー細胞が処理するなど、免疫機能にも関与しています。
このように化学工場としても仕事を一手に担っている肝臓は、ともするとオーバーワークになりがちです。
しかし、肝臓は本来、弱っても休ませれば元気になる再生力を持った臓器です。
上手にいたわれば、肝機能は維持できます。一時的に肝機能が衰えたときも、肝臓病の場合も、いたわることの基本は同じです。
■漢方薬
漢方薬は肝臓の優しい味方
肝臓病の治療には種々の薬が使用されますが、薬を分解するのも肝臓なので、肝臓の負担にならないように慎重な治療が進められます。 生薬だけを組み合わせて作る漢方薬を用いたり、西洋薬と漢方薬を併用することもあります。 漢方薬の場合、肝臓病であっても肝臓だけでなく、胃腸などの他の器官の状態や、個人の体質などを全体的に診て、バランスよく治療していくことが特徴です。 肝臓病の治療薬には、ビタミン剤も含まれます。 肝機能が低下していると、肝臓内の ビタミンが欠乏するため、健康な人の数倍のビタミンが必要になるからです。
■肝機能をアップする生活
栄養と休養、肝臓に負担をかけない生活
肝臓をいたわり、肝機能をアップする生活の重要な柱は「食生活」です。 前述したように、肝機能が衰えたときは通常より多いビタミン補給が欠かせません。 また、破壊された肝細胞を修復するためには十分なたんぱく質が必要です。 便秘をしないように、食物繊維を適度に摂ることも大切でしょう。 便秘によって生じる有毒物質を解毒することは、肝臓にとって大きな負担となるので、 食後には横になるなどして安静に過ごすと、肝臓への血流が増え、肝機能の働きを助けます。
肝臓を温めて血行をよくするのも効果的な方法です。カイロや温かいタオル、シャワーなどを利用するとよいでしょう。 ただし入浴は肝臓に負担をかけないように、食後や運動の直後、熱い湯、長風呂は避けましょう。 そして夜はたっぷり睡眠をとり、起きている間中働き続けている肝臓を休めましょう。