高血圧対策に『チョコレート』

チョコレートに多く含まれるエピカテキンが血管をしなやかにし、血圧上昇を抑えてくれます。


■チョコレートの降圧効果試験

世界中の研究機関が注目!チョコレートは高血圧に効く!

日本には約4000万人の高血圧者がいると言われています。そもそも高血圧とは、血管に高い圧力が慢性的にかかっている状態。 やがて血管は詰まったり、破裂して出血したりし、命に関わる重大な病を招くのです。 さて、この高血圧を予防・抑制する働きを持つ食べ物として、今注目を集めているものの一つにチョコレートがあります。 東京医科大学病院の椎名一紀先生は言います。

「10年ほど前から知られるようになり、欧米を中心に世界中で発表された論文は150以上もあります」

例えば、イタリアのラクイラ大学が行った調査では、高血圧患者20人が1日100gのダークチョコレートを15日間食べた続けた結果、 血圧が約12mmHg下がったという報告があります。またアメリカのウォールデン大学などの研究チームが14,310人の食生活を調査したところ、 チョコレートをより多く食べている人たちの血圧の方が低いことがわかりました。 つまり、血圧の降下、高血圧の予防の両方に効果があることがわかったのです。 ドイツのケルン大学では、56~73歳の血圧の高めの人たちに、ポリフェノール30mgを含んだダークチョコレートを毎日6.3g、 18週間食べてもらう観察実験を実施。すると上の血圧(収縮期血圧)が2.9mmHg、 下の血圧(拡張期血圧)が1.9mmHgほど下がったといいます。

「国民の平均値として上の血圧が2mmHg下がれば、脳卒中罹患率は約6%、虚血性心疾患は約5%減少すると言われるので、 これはとても大きな効果と言えます」と椎名先生は言います。


■エピカテキンが血管を拡張し、しなやかにする

チョコレートで、なぜ血圧の上昇を抑制することができるのでしょうか。 その秘密は、チョコレートに含まれるポリフェノールの一種、「エピカテキン」にあります。 エピカテキンはリンゴ、ブドウ、緑茶などにも含まれていますが、食品の中では圧倒的にカカオに多く含まれることがわかっています。 チョコレートを食べると小腸でエピカテキンが吸収され、それが血液中に流れ込みます。 そして血管の収縮を司る血管の内側の細胞に染み込み、その活動を活性化させます。 その結果、血管が拡張し、血圧の上昇が抑えられるのです。

「エピカテキンの効果が期待できるのはカカオポリフェノールを豊富に含むダークチョコレートです。 ココアにも同様の効果が期待できます。ただし、ダークチョコレートは脂質が多くカロリーも高めです。 できるだけ糖分控えめのものを選び、食べ過ぎには注意が必要です」

と椎名先生。

●エピカテキンとは

エピカテキンはポリフェノールの一種で、カカオ、緑茶、フルーツなどに含まれています。 抗酸化作用、抗炎症作用、抗癌作用、抗腫瘍形成作用、血糖値上昇抑制作用、抗菌作用などがあるとされています。 カカオには特に多く含まれており、これが高血圧抑制に効果があると注目を集めています。 また、エピカテキンには活性酸素を分解する作用、すなわち抗酸化作用があることがわかっています。 つまり、エピカテキンは硬くなった血管を元のしなやかな状態に戻す働きがあるのです。 血管を若返らせて、動脈硬化を防ぐ効果も期待できます。