■質問:脂質異常は遺伝するの?
35歳のBさん(男性)は、LDLコレステロール値が200mg/dlです。 父が40歳代で心筋梗塞を起こして亡くなっており、自分も同じように心筋梗塞を起こすのではないかと、とても心配しています。
◆答え
脂質異常症の中には、生活習慣病に関わって発症するタイプのほかに遺伝が関係して発症するタイプがあり、 その1つに「家族性高コレステロール血症」があります。 家族性高コレステロール血症がある人では、遺伝的にもLDLコレステロール値が非常に高く、 若くても狭心症や心筋梗塞などを起こしやすくなります。 Bさんのように、若いころに心筋梗塞を起こした家族がいるうえ、LDLコレステロール値が非常に高い状況の場合、 家族性高コレステロール血症の可能性が高いと考えられます。 日本ではおよそ500人に1人割合で、家族性高コレステロール血症があると言われています。 LDLコレステロール値が高い人の中では、それほど珍しくない病気です。 思い当たる特徴がある人は早めに受診し、詳しい検査を受けましょう。 家族性高コレステロール血症では、アキレス腱にコレステロールがたまって太るなどの特徴があります。 医療機関では、触診で足の状態も確認されます。
◆家族性コレステロール血症の治療
家族性高コレステロール血症の場合はLDLコレステロール値の高い状態が長く続くため、動脈硬化の進行が非常に早く、 それだけ心筋梗塞などを起こす可能性が高くなります。そのため、LDLコレステロールの目標値を100mg/dl未満と かなり厳しく設定します。治療には、食事や運動など、生活習慣の改善が欠かせません。 「スタチン」などの薬を用いて、冠動脈疾患の発症を防いでいきます。 このような治療をきちんと継続していけば、LDLコレステロール値を下げ、健康に過ごすことができます。