■質問:慢性腎臓病との関係は?
60歳代のDさん(男性)は、「慢性腎臓病」と診断され、血液中の脂質の値にも注意するように言われました。 腎臓の病気と血液中の脂質には、どのような関係があるのでしょうか?
◆答え
腎臓は、血液を濾過して、体内の老廃物や余分な塩分などを尿として体外に排出する働きをしています。 このような腎臓の働きが低下してくるのが、慢性腎臓病です。主に加齢が影響するため、高齢者には特に多く見られる病気です。 全身の血液を濾過する腎臓には、大量の血液が出入りしています。そのため、腎臓は血管の塊ともいえる臓器です。 慢性腎臓病では、腎臓の細かい血管が障害されて機能が低下していきますが、腎臓で血管が障害でされていると、 全身の血管も障害されている可能性が高くなります。そのため、心筋梗塞や脳卒中といったほかの血管の病気も 起こりやすくなっていると考えられるのです。したがって、血液中の脂質や血圧、血糖値などを、厳しくコントロールします。 特に、慢性腎臓病と脂質異常症が重なると心筋梗塞などのリスクが非常に高くなるため、LDLコレステロール値は 120mg/dl未満を目標にします。慢性腎臓病が悪化すると、人工的に血液を濾過する「透析療法」が必要になります。 しかし、実際には透析療法が必要になる前に、心筋梗塞や脳卒中で亡くなる人が多くいます。 それだけ心筋梗塞などを起こす危険性が高いため、予防のための治療が非常に大切です。
◆慢性腎臓病の検査方法
腎臓の機能が低下しているかどうかは、尿中のタンパク質の濃度を調べる「尿検査」や、血液中の老廃物の一種である 「血清クレアチニン値」を調べる「血液検査」でわかります。 腎臓の機能が低下すると、体に必要なタンパク質が尿中に排出されてしまったり、クレアチニンを排出できず、 血液中に増えてしまったりします。