■質問:メタボリックシンドロームとの関係は?

50歳代のEさん(男性)は肥満があり、メタボリックシンドロームと診断されました。 肥満を改善すれば、それでよいでしょうか。血糖値、血圧共にやや高く、血液中の脂質は、LDLコレステロール値170mg/dl、 HDLコレステロール値35mg/dl、中性脂肪値150mg/dlです。


◆答え

「メタボリックシンドローム」とは、臓器の周囲に脂肪がたまる内臓脂肪型肥満があり、なおかつ、「血糖」「血圧」 「血液中の脂質(HDLコレステロール、中性脂肪)」のうち、2つ以上に異常がある状態を指します。 肥満があるうえにこれらの生活習慣病が重なると、それだけ動脈硬化が進行しやすいことから、 しっかりとした治療が必要になります。主な治療法として肥満の改善は必要ですが、体重管理だけでは不十分です。 なぜなら、体重を減らしても、内臓脂肪が蓄積している可能性があるためです。また、20歳のころに痩せていた人でも、 中高年になって体重が7~10kg前後増えた場合は、内臓脂肪がたまっている可能性があり、注意が必要です。 さらに、高年齢になると筋肉量が低下して肥満が目立たなくなることもあります。 また、高血糖や高血圧などが軽度でも、それらが複数重なると、心筋梗塞などのリスクは大きくなっていきます。 そのため、肥満以外のそれぞれの要因も適切にコントロールして、メタボリックシンドロームを改善する必要があります。


◆LDLコレステロールは単独で考える

LDLコレステロール値は、HDLコレステロール値や中性脂肪値と異なり、肥満とは無関係に高くなることがよくあります。 しかもLDLコレステロールは、単独で心筋梗塞などのリスクを高めます。 Eさんのような場合、メタボリックシンドロームとLDLコレステロール値の2つのリスクが重なっていることになります。 非常に危険な状態なので、メタボリックシンドロームに加え、LDLコレステロール値も改善する必要があります。