「高齢者の鬱病(うつ病)」の治療
高齢者の鬱病(うつ病)も、治療の中心となるのは薬物療法と精神療法です。 また、薬物療法が基本ですが、ECT(通電療法)が用いられることもあります。
薬物療法では、副作用の少ない「SSRI」や「SNRI」が用いられます。 また、高齢者が、鬱病(うつ病)を予防したり、症状を軽減したりするために、 趣味を持ったり、家庭や地域で役割を持ったりするなど、自分自身でできることがあります。 さらに、高齢者は、気持ちがつらくなっているときでも、自分から積極的に相談しないことがよくあるので、周囲の人はじっくり話を聞くことが基本です。 高齢者の鬱病(うつ病)も、治療の基本は「抗うつ薬」による「薬物療法」と精神療法ですが、ECT(通電療法)が用いられることもあります。
■薬物療法
高齢者の鬱病(うつ病)も、治療の基本は「抗うつ薬」による「薬物療法」で、 副作用の少ない「SSRI」や「SNRI」が用いられます。 ただし、高齢者の場合、肝臓や腎臓の機能が低下して、薬の副作用が起こりやすいので、 若い世代の患者よりも少なめの量が処方されます。 薬は少量から使い始め、時間をかけて適量まで増やしていきます。 また、他の薬との飲み合わせにも配慮が必要になります。高齢者はほかの病気の薬を服用していることが多いためです。 どのような薬を服用しているか、必ず医師に伝えるようにします。
また、高齢者の鬱病(うつ病)は、一般に若い人に比べ、重症化しやすいという特徴があります。 重症化すると、落ち着きがなくなり、食事もできなくなります。 妄想を抱くようになることもあります。さらに問題なのは、自殺する危険性が高くなることです。 高齢者の自殺の多くは、背景に鬱病(うつ病)があると、考えられています。 高齢者に限らず、鬱病(うつ病)の症状が重く、自殺の危険性があるときなどは、 「ECT(通電療法)」を用いることがあります。ECTは、全身麻酔を行ってから、 頭部に電気刺激を与える治療法です。抗うつ薬と異なり、即効性が期待できます。 この治療は、1~2ヶ月程度入院して行います。入院中、何度か繰り返し行われますが、 1回だけの通電で、効果が現れることもあります。ただし、再発の可能性もあるため、 一般に治療後は抗うつ薬による治療が行われます。
■精神療法
高齢者の患者さんは”自分はもうだめだ”という意識が強い傾向があります。 社会で活躍していたころの自分や、元気な高齢者と比較したりして、みじめな気分になってしまうのです。 精神療法では、他人と比較しないことを勧めます。いろいろなことができなかったとしても、 ”それでも自分は生きている”と開き直った心境になることが大切です。 治療では休養が大切ですが、その際には、体のさまざまな症状や、生活上困っている問題などに対して、 家族をはじめとする周囲の人たちが決めの細かい対応を支えていくことも必要です。
■自分自身でできること
高齢者が、鬱病(うつ病)を予防したり、症状を軽減したりするために、自分自身でできることがあります。 勧められるのは、趣味を持ったり、家庭や地域で役割を持ったりすることです。 スポーツをしたり、外に出て人間関係を広げるのがよいなどといわれます。 デイケアなどに行くことも進められます。 これらのことができる人はよいですが、中には難しい人もいます。そのため、自分自身の好みに合わせることが大切です。 趣味は室内で1人で行うものでもよく、パソコンが得意な人はインターネットの交流サイトで人間関係を広げるのもよいでしょう。 自分に合った方法で生活の中で楽しみを見つけたり、人とかかわりを持つようにすればよいのです。
■周りの人ができること
周囲の人はじっくり話を聞くことが基本です。高齢者は、気持ちがつらくなっているときでも、 自分から積極的に機会をつくることが大切です。 高齢者は、気持ちがつらくなっているときでも、自分から積極的に相談しないことがよくあります。 そこで、話を聞く機会を作ることが大切です。また、日常生活でちょっとした手助けをすることも勧められます。 助けてもらってうれしいという気持ちが、鬱病(うつ病)の予防や改善に役立つからです。