脳卒中発症後鬱病(うつ病)とは?

脳卒中発症後、約20%の人に「鬱病(うつ病)」が見られる

「脳出血」や「脳梗塞」などの「脳血管障害(脳卒中)」を起こした人の約30~50%は、 脳への障害、後遺症などによるストレス、生活環境の変化などにより 鬱病(うつ病)を発症するか、鬱状態(うつ状態)になるといわれています。 脳血管障害を起こした人が鬱病(うつ病)になると、意欲が低下して、リハビリテーションが十分にできなくなり、 後遺症が悪化することもあるので、鬱病(うつ病)の症状が現れたら、鬱病(うつ病)の治療もきちんと受けることが大切です。 脳卒中発症後、意欲や気力がない状態が続くようなら、早めに医師に相談することが必要です。


■脳卒中発症後に鬱病(うつ病)になりやすい理由

▼脳への障害
脳血管障害による脳のダメージが、直接、意欲や気分をつかさどる脳の部位に及ぶと 鬱病(うつ病)になりやすいとされています。

▼後遺症などによるストレス
脳が障害されると、さまざまな後遺症が残ります。「麻痺」や「失語症」などの後遺症が残ると、 これまでの日常生活で当たり前にできていたことが、なかなかできなくなります。 そのため、いらだちや不安、失望感などが大きなストレスとなり鬱病(うつ病)を招きやすいのです。

▼生活環境の変化
突然、脳卒中が起こることで、慣れない入院生活が始まり、その環境に対応しなくてはならないことから、 生活環境の変化がストレスとなって発症することもあります。 また、仕事や家庭の環境が大きく変わることはいうまでもありません。

■脳卒中発症後の鬱病(うつ病)の特徴

脳卒中発症後の鬱病(うつ病)では、憂鬱な気分より「意欲や活動性の低下」が目立つ場合があります。 ほとんど活動したがらず、1日中、ずっとベッドで過ごすような状態になります。 こうした鬱病(うつ病)の症状は、脳卒中後の心理的な反応だと考えられ、見逃されがちです。 しかし、放置しておくと、リハビリテーションの阻害要因になります。 社会復帰しようという意欲が奪われ、回復の遅れにもつながります。 脳卒中発症後、意欲や気力がない状態が続くようなら、早めに医師に相談することが必要です。


■脳卒中発症後の抗鬱薬の使用

脳卒中発症後の鬱病(うつ病)の治療には、副作用の少ない「SSRI」や「SNRI」などが最初に使われます。 ただし、脳卒中発症の直後であること、高齢者が多いことなどを考慮し、薬の量も通常より少なめにして使われます。 意欲や活動性の低下の症状が強いと、抗鬱薬の効果が弱い場合もあります。 この場合、脳の血液の流れを改善する「脳循環改善薬」や、 脳の働きを助ける「脳代謝賦活薬」 が効果をあげることもあります。