●一般の健康診断の検査項目
身長と体重の測定、血圧測定、尿検査、血液検査があり、視力・聴力検査や胸部エックス線検査、心電図検査などが加わることもある。
特定健康診査(特定検診)の場合は、身長・体重・腹囲の測定、血圧測定、尿検査、血液検査が基本の検査項目となり、
必要に応じてその他の検査を行う。
■ちょっとしたことが影響する、数値が変わりやすい検査項目
「健康診断が近いから、暴飲暴食はやめておこう」という人がいますが、確かに数日間でも節制すれば数値がよくなるものもあります。 逆に、運動や食事内容の影響を受けて、本来の状態からずれた数値が出てしまうものもあります。 そのため、体の状態を正しく把握するには、検査前の食事や運動に気を付ける必要があります。 日によって数値が変動しやすい検査項目には、次のようなものがあります。
- ▼γ-GTP
- よく飲酒をする人でも、数日前から摂取すると数値が低くなります。 また、あまり飲酒しない人でも、検査の前日に大量に飲酒したりすると数値が高くなります。
- ▼血清総ビリルビン
- 空腹時間が長くなると、わずかに数値が高くなります。空腹でない時に再検査して基準値内であれば、問題ありません。
- ▼尿たんぱく
- 検査の前日や当日に激しい運動をすると、腎臓に負担がかかり、一時的に尿たんぱくが漏れ出ることがあります。 これは生理的な現象で、問題はありません。
- ▼尿素窒素・赤血球数など
- 尿素窒素は、脱水があると数値が高くなります。 身体が脱水状態のときは血液が濃くなるため、血液中の赤血球やたんぱく質の濃度も上がり、数値がやや高くなります。
- ▼中性脂肪・血糖
- 中性脂肪値や血糖値は、食後か空腹時かによって数値が変わります。 採血するときの「空腹時」とは、10~12時間は絶食した状態のことです。 検査が朝からであれば、前夜9時以降は食事を摂らないでください。 一方、HbA1cは過去1~2ヵ月間の平均的な血糖の状態を示す数値で、数日間だけ食習慣を改善しても結果には影響しません。
いずれにしても、健康診断前のの節制で検査結果を変えようと考えるのは、自分のためになりませんから、避けましょう。
●血清総ビリルビン
肝臓の状態を示す数値で、黄疸があるときに血清総ビリルビン値が高くなっていることが多い。
基準値から外れている場合、急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝癌などの疑いがある。
●尿素窒素
血液中の尿素を調べるために、尿素に含まれる窒素の量を測定する。
尿素窒素の数値が高いと、腎臓の濾過機能の低下が疑われる。
●尿たんぱく
尿中に排出されるたんぱく質の量で、健康な人でもわずかに出ている。
基準値より多く尿たんぱくが出ている場合には、腎機能の低下が疑われる。
■異常なしでも油断は禁物!健康診断では見つからない病気も
こうした一般の健康診断のほかに、さらに詳しく調べることができる人間ドックがあります。 人間ドックは一般の検診よりも検査項目が多く、癌検診も含まれていて、より詳しい結果が得られます。 ただし、費用は全額自己負担になります。 人間ドックで見つかる病気は多くありますが、すべての病気が見つかるわけではありません。 必要に応じて、追加で詳しい検査を受けた方がよい場合があります。 例えば、狭心症は、 胸部エックス線検査や心電図検査ではわからないことがあります。 これらの検査で異常がなくても、胸の痛みや圧迫感などの症状があれば、専門医を受診して詳しい検査を受けることが勧められます。 また、ごく小さい早期の癌も、一般の検診での発見は難しく、癌の種類によっては、人間ドックや部位別の癌検診などを受けても、見つけにくいものがあります。 例えば、1cm以下の小さな肺癌を発見するにはCT検査が必要です。 しかし、このような詳しい検査では、費用や放射線被爆の問題についても考える必要があります。 追加で受ける詳しい検査については、その目的や方法、費用など、メリットとデメリットについてよく知ったうえで、 自分に合った検査を選ぶようにしましょう。
●肺癌のCT検査
肺癌のリスクが高い「喫煙者で55歳以上の人」は、年1回、CT検査を受けるとよい。
喫煙をしていないなど、肺癌のリスクが低い人は頻繁にCT検査を受ける必要はない。