命を守る!心臓の検査

突然死を招く原因となることもある”心臓の異常を示すサイン”。気付いたら、早めに検査を受けることが大切です。


■動悸がある場合の検査

いつもより脈が速く感じたり、脈を感じたりする動悸は、緊張や興奮、運動をしたときなどに起こることがありますが、 これは生理現象なので特に心配はありません。ただし、動悸の中には、背景に病気が隠れていて起こっている場合があり、 最も多いのが不整脈によるものです。 不整脈には、脈の異常が一日中続くものも、発作的に起こるものもあります。 また、運動時に起こるものもあれば、安静時や就寝時などに起こるものもあります。 そして、あまり心配しなくてもよい不整脈もありますが、中には突然死 を引き起こすような危険なものもあります。 不整脈が疑われる場合、診断の基本となるのが心電図検査です。 そして、危険な不整脈を見つけるためには、次のような検査が行われます。

▼ホルター心電図検査
胸に薄いシール状の電極を貼り付けて、携帯型のホルター心電計を装着します。 普段通りの生活を送りながら心電図を24時間記録し、どのような時に不整脈が起こっているかを調べます。 入浴中やシャワーの時にも装着できる、防水タイプのホルター心電計もあります。 また、最近では、1~2週間連続して心電図を記録できる長時間心電計も登場しています。

▼運動負荷試験
トレッドミルを使って運動時の心電図を記録し、運動時に異常が現れないかどうかを調べます。 不整脈のほか、狭心症の発見にも役立つ検査です。

▼電気生理学的検査
ホルター心電図検査や運動負荷試験で不整脈と診断された場合、その危険度を調べるための電気生理学的検査が行われることがあります。 電極の付いたカテーテルを、脚の付け根や鎖骨の下の静脈から挿入して心臓の内部に送り込み、心臓の筋肉(心筋)に直接当てて、心臓の電気活動を調べる検査です。 不整脈が心臓のどの部位で、どのように発生しているかを詳しく調べることができます。 この検査は、体への負担を伴うため、局所麻酔あるいは全身麻酔をして行います。通常は3日程度の入院が必要です。 電気生理学的検査を行う際に、高周波のエネルギーなどを使って、不整脈の発生に関係している部位を焼き切る、 カテーテル心筋焼灼術(カテーテルアブレーション)を併せて行うことがほとんどです。


■締め付けられるような胸の痛みがある場合の検査

締め付けられるような胸の痛みがある場合に最も疑われるのが 狭心症心筋梗塞です。 狭心症や心筋梗塞は、突然死の原因になるため、できるだけ早く発見して、適切な治療を行うことが重要です。 狭心症や心筋梗塞の診断のためには、まず問診で症状や生活習慣病の有無などを確認し、心電図検査や運動負荷試験などが行われます。 さらに、診断を確定するために、次のような検査が行われます。

▼冠動脈CT検査
CTを使って、冠動脈が狭くなったり、詰まっていないかどうかを調べます。

▼冠動脈造影検査
冠動脈のどの部位が狭くなったり、詰まっているかを調べる検査です。 カテーテルを腕などの動脈から冠動脈まで送り込み、造影剤を注入し、エックス線を照射して冠動脈の状態を調べます。 カテーテルで造影剤を注入することから、体への負担を伴うため、局所麻酔をしたうえで行います。 通常は2日間程度の入院が必要になります。

▼心筋シンチグラフィー
放射線を放出する薬を静脈に注射し、心筋に取り込ませて、運動の前後の心臓を特殊なカメラで撮影する検査です。 心臓に負荷をかける運動は、自転車エルゴメーターなどで行います。 心筋のどの部位に、どのくらいの血流量があるのかを画像化することで、狭心症の重症度や、血流が不足している心臓の部位を判断します。


■息切れやむくみがある場合の検査

息切れは肺の病気の症状、むくみは腎臓の病気の症状として起こることが知られています。 しかし、これらの症状は、心不全が起こっている場合にも現れます。 特に、慢性心不全では、徐々に心臓の働きが低下していくため症状に気付きにくいのですが、息切れやむくみが重要なサインになります。 心不全の診断のために行われる基本的な検査には、次のようなものがあります。

▼胸部エックス線検査
心臓の大きさや肺の状態を調べます。

▼血液検査
心不全の状態を反映する指標のBNPを測定し、心不全の診断や重症度の判定をします。

▼心エコー検査
胸部にゼリーを塗って、超音波を発するプローブを当て、心臓の筋肉や弁の状態などを調べます。 エックス線などを使わないため、体への負担が少ない検査です。

動悸や締め付けられるような胸の痛み、息切れ・むくみは、循環器の病気で起こる代表的な症状です。 これらの症状が現れた場合は、早目に医療機関を受診し、検査をすることが勧められます。