血液検査で病気を見つけ出せ!
健康診断で異常がなくても、気になる症状が続く場合は、血液検査を。 血液には病気の発見に繋がる多くの情報があります。
■血液検査でわかること~生活習慣病から心不全まで~
血液は、赤血球、白血球、血小板などの細胞成分と、血漿という液体からできています。 血液の主な役目は、全身の細胞に酸素を届けて二酸化炭素を肺に戻すことです。 この運搬を担っているのが赤血球です。 人間の体はおよそ37兆個もの細胞でできているといわれますが、赤血球の数はおよそ26.3兆個。全身の細胞の約2/3を占めています。 これだけ多くの量が必要なほど、赤血球は大切な働きをしているのです。 白血球にはウィルスや細菌から体を守る働きがあります。 また、血液中には酸素のほかにも、体に必要な栄養素やホルモンなどの多くの成分が含まれています。 このように、血液は全身の細胞を巡り、体にとって重要な成分を運んでいます。 そのため、血液の成分を調べることで、健康状態に関する多くのことがわかるのです。 血液検査によって見つけることができる病気や異常には、貧血、血液の癌(白血病など)、感染症 腎臓の異常、 肝機能障害、 腎機能障害、 脂質異常症、 高尿酸血症、 糖尿病、 心不全(狭心症・心筋梗塞など)など、 実に様々なものがあります。
■見逃したくない血液検査の項目
血液検査の項目の中には、自覚症状があまり現れず、またすぐには診断がつかないため、注目されにくいものがあります。 「体質だから」と考えて見過ごされがちですが、そのままにしておくと危険なものもあります。
●白血球の増加
毎年のように「白血球が多い」と指摘されていながら、発熱などの自覚症状が特にない人もいます。 慢性的な白血球増加の原因は多くの場合、喫煙です。たばこの有害物質によって体に慢性的な炎症が起こり、 白血球が増加するためだと考えられています。白血球だけでなく赤血球も増えて血液が”ドロドロ”になる(粘度が増す)こともあります。 また、喫煙そのものが心筋梗塞や 脳梗塞、 癌のリスクを高くしますが、 白血球が増加していると、さらに心筋梗塞を発症しやすいことがわかっています。 喫煙をやめれば、多くの場合、白血球数の数値は正常になります。 喫煙をしていて白血球が多い状態が続いている人は、自覚症状がなくても禁煙してください。 また、慢性的な白血球増加の重大な原因として、慢性骨髄性白血病があります。 喫煙をしていないのに白血球が増加している場合は、自覚症状がなくても、血液内科などの専門医による検査を受けましょう。
【関連項目】:『喫煙・禁煙』
●貧血
貧血(鉄欠乏性貧血)というと、身近な病気で、鉄剤を飲めば改善するものだと考えられがちです。 しかし、血液検査で鉄欠乏性貧血を指摘された場合には、その原因をきちんと調べる必要があります。 閉経前の女性の場合は、月経が原因で貧血が起こっていることが多いのですが、 閉経後の女性や男性の場合、実は癌などの病気が原因で、 胃や腸などから出血し、貧血が起こっている場合があるのです。 そのままにしていると、癌が進行したり、腸閉塞を起こしたりして命に関わることもあります。 貧血のほかに気になる症状がある場合も、必ず医療機関を受診しましょう。
■自己負担で受ける追加の検査
一般の検診や人間ドックで血液検査を受けていても、見つからない病気もあります。 気になる症状があるときには、費用は全額負担になりますが、追加して受けることが勧められる検査があります。 ここでは、調べてみると病気が潜んでいることが多い2つの検査項目を紹介します。
●甲状腺ホルモンの検査を追加する
・食欲があるのに体重が減る
・脈が速い
・暑がり
・食欲がないのに体重が増える
・脈が遅い
・寒がり
上記のような症状がある場合は、甲状腺の病気が疑われるため、甲状腺ホルモンの量を調べる検査を追加で受けることが勧められます。 甲状腺ホルモンは全身の新陳代謝に関係していて、分泌が過剰になったり、減少したりすることで症状が現れます。
●フェリチンの検査を追加する
通常、鉄欠乏性貧血を調べるときは血中ヘモグロビン値をみますが、これが基準値の範囲内(女性の場合、12g/dL以上)でも、 貧血の症状がある人もいます。こうした”隠れ貧血”を潜在性鉄欠乏症といい、日本の女性全体の約2割、月経のある女性の約4割に見られます。 潜在性鉄欠乏症は、フェリチンの検査で見つけることができます。 ヘモグロビン値が示すのは赤血球に含まれる鉄の量だけですが、フェリチン値を見れば体内に貯蔵されている鉄全体の量がわかるのです。
このよう血液からわかることあ多くあります。気になる症状があれば、一度検査を受けましょう。