【質問】糖尿病の食事療法を続けるポイントは?
夫(53歳・163cm・73kg)は、HbA1cや血糖値が高く、糖尿病の食事療法を1ヵ月間行いました。 その結果、数値は少し改善しましたが、その後は食べ過ぎることもあり、肉体労働なので帰宅後は疲れてしまい、運動もほとんどしません。 以前、2ヵ月で15kgほど減量したときは、筋肉量が落ちて力仕事ができなくなり、1ヵ月で元の体重に戻りました。 どのように食事の改善を続けていけばよいでしょうか。
【答】
糖尿病の治療(インスリン治療が不可欠な糖尿病を除く)は、 食事療法、 運動療法、生活習慣の改善から開始します。 食事療法の目的は、健常の方と同様に日常生活を営むために必要な栄養素を摂ること、そして、血糖・血中脂質・血圧を管理して 糖尿病の合併症の予防や進展を抑制することです。 肥満のある方がが体重を減らすことは重要ですが、栄養素の不必要な節制はよくありません。 極端な減量を目指すのではなく、減量の速度は「1ヵ月に2kg以内」が目安とされています。 医師に指示された摂取エネルギー量の範囲内で、病態に応じた炭水化物、たんぱく質、脂質の摂取量を決定し、 ビタミン、 ミネラル、 食物繊維も過不足なく摂ることが大切です。
食事療法の進め方ですが、まずは栄養指導を受けて現在の食事摂取状況を評価してもらい、過剰な、あるいは不足している栄養素について、 食品の選び方や摂取量の目安を理解することが大切です。 その際、身体活動量は適正な摂取エネルギー量を設定するポイントになるので、業務状況は必ず伝えておきましょう。 また、食生活上の課題、例えば、「菓子・飲料の過剰摂取」「揚げ物など油脂類の過剰摂取」「アルコールの過剰摂取」「食事時間帯が不規則」などがあれば、 その対策について指導を受けます。こうした栄養指導は、医療機関や地域の保健センターに所属する管理栄養士から受けることができますので、 受診している医療機関で相談してみるとよいでしょう。 また、体重測定による自己管理も大切です。体重は、毎朝、起床後に排尿してから測定し、前日と比較します。 増加している場合は、指摘されている食生活上の課題を振り返り、問題があれば改善していきましょう。
(この答えは、2019年10月現在のものです。医療は日々進歩しているので、後日変わることもあるのでご了承ください。)