プール熱
目の充血や高熱、喉の痛みが起こる『プール熱』。 かかった場合の正しい対処法や、感染を広げない対策が重要です。
■プール熱とは?
目の充血や高熱、喉の痛みなどが現れる感染症
プール熱(咽頭結膜熱)」は、就学前の幼児に起こりやい感染症です。 プールで感染しやすいことからプール熱と呼ばれていますが、プール以外でも感染することが多くあります。 プール熱の原因となるウィルスは、感染力が非常時強く、あっという間に周囲に感染を広げてしまいます。 命に関わる病気ではありませんが、稀に重症化することがあるため、注意が必要です。 プール熱は、通常5~7日間の潜伏期間を経て発症します。 主な感染経路には、「飛沫感染」「接触感染」「経口感染」の3つがあります。
●プール熱の症状
- ▼目の充血
- 両方または片方の目の結膜(白目の部分)や、瞼に充血(結膜炎)が起こります。 他にも、目やに、目のかゆみや痛みが現れたり、眩しさを訴える場合もあります。 目の症状はしばらく続くことがあります。
- ▼発熱
- 38~40℃の高熱が5日間ほど続くことがあります。 日中は元気だった子供が、夜になって急にぐずったりすることがあります。
- ▼喉の痛み
- 咽頭が腫れて、食事が困難になるほどの痛みを伴う場合があります。
ほとんどの場合、これらの症状は1週間程度で自然に治まります。 ただし、症状が強い場合や、症状が急変した場合は、医療機関を受診してください。
■プール熱の対処法
現在(2020年)のところ、プール熱を根本的に治す治療薬はないため、症状を抑える対症療法を行います。
●目の症状の対処法
目の症状が現れている場合は、小児科だけではなく、眼科も受診することが勧められます。 「抗菌薬」や「ステロイド薬」、「抗ヒスタミン薬」の点眼薬を使って目の症状に対処します。 感染した子供の目やにや涙を拭き取るときは、ティッシュペーパーや清浄綿を使い、手で直接目に触れないように気を付けてください。
●発熱の対処法
基本的に、熱を無理に下げる必要はありません。ただし、辛そうな場合は、脇の下や脚の付け根など、太い血管が皮膚の近くを通っている部分を冷やします。 冷やしても発熱でつらそうな場合は、処方された「解熱薬」を使います。
- ▼乳児の発熱への対処
- 目安としては、「生後3ヵ月未満の乳児で38℃以上の発熱がある場合」は、直ちに医療機関を受診してください。 生後3ヵ月以上の乳児が夜間に発熱した場合、水分が摂れて、機嫌が悪くなく、眠れるようであれば、翌日、医療機関を受診してください。 また、普段と様子が異なる場合は、相談孫口を利用して、 受診するべきかどうかを検討してください。
●喉の痛みの対処法
喉の痛みが強い場合には、処方された「鎮痛薬」を使うことがあります。 また、喉の痛みがあるときは、食事や水分補給に工夫が必要です。 喉の痛みで食事が摂れない場合は、水分補給だけでも構いません。 夏は熱中症が起こる危険があり、 子どもは汗をかきやすいので、脱水が起こらないように、こまめに水分を補給するようにしましょう。
■感染を広げないために
プール熱は、症状が始まったあとも、しばらくの間、ウィルスが喉や便から排出され続けます。 そのため、患者さんから家族や周囲に人への「二次感染」に注意が必要です。 感染を広げないためには、次のようなことが大切です。
- ▼手洗い
- プール熱が流行している時間は、こまめに石鹸と流水による手洗いをします。
- ▼消毒
- 感染した人が触ったドアノブやスイッチ、おもちゃ、トイレなどは、マスクや使い捨ての手袋を装着して、こまめに消毒します。 消毒や掃除をしたあとは、必ず手洗いをしてください。
- ▼排便後の適切な処理
- 便にウィルスが含まれているので、排便後は、しっかり手洗いをし、手指の消毒をしてください。 乳幼児が感染した場合、おむつを交換するときは、マスクや使い捨ての手袋を装着し、専用のごみ袋を用意するなどして、感染の拡大を防いでください。 おむつを交換した後は、必ず手洗いと手指の消毒をしましょう。
■その他
- ▼保育所や幼稚園、学校への出席停止について
- 国が定めるガイドラインにより、プール熱に感染した場合、「主な症状が治まった後、2日を経過するまで」は、登園・登校するすることはできません。 登園・登校にあたって治癒証明書など提出を求められた場合は、かかりつけ医に相談しましょう。
- ▼タオルの共用は避け、洗濯にも注意
- プール熱に感染した人が使ったタオルには、ウィルスが付着している可能性があるので、タオルは共用せず、 汗などを拭くときは、必ず自分専用のタオルやペーパータオルを使いましょう。 また、感染した人の目やにや唾液が付着したタオルは、洗剤を使って洗ってもウィルスが残っていることがあるので、必ず分けて洗うようにします。