●ケミカルメディエーター受容体拮抗薬
肥満細胞から放出されたケミカルメディエーターが粘膜の受容体に結合するのを防ぐことで、粘膜への刺激を抑える薬です。
◆第1世代抗ヒスタミン薬
抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンが受容体に結合するのを防ぎ、くしゃみ、鼻水、かゆみを抑える作用があります。
第1世代ヒスタミン薬は、古くからある薬で、長い間、花粉症などのアレルギー性鼻炎治療の中心でした。
抗ヒスタミン作用は強力で、くしゃみ、鼻水によく効きますが、副作用として眠気が強く出て、胃腸障害などが起こることがあります。
また、抗コリン作用があるため、口が渇いたり、
一部の
緑内障や
前立腺肥大症、
気管支喘息などを悪化させることがあり、これらの病気がある人は使えません。
現在は、くしゃみ・鼻水がひどいときだけ飲む頓服薬として「フマル酸クレマスチン」と
「d-マレイン酸クロルフェニラミン」が処方されるくらいですが、
市販の花粉症・アレルギー性鼻炎の薬の多くに、この薬が含まれています。
◆第2世代抗ヒスタミン薬
第1世代抗ヒスタミン薬の眠気と抗コリン作用を減らそうとして開発された薬です。
多くが内服薬ですが、鼻噴霧用、点眼用の薬もあります。
一般に新しい薬の方が眠気は出にくくなっており、最近では「塩酸オロパタジン」
「塩酸フェキソフェナジン」「ベシル酸ベポタスチン」「ロラタジン」などがよく用いられています。
働きの中心は抗ヒスタミン作用ですが、他にもさまざまな働きがあり、くしゃみ・鼻水ばかりでなく、
鼻づまりにも効果があるとされる薬もあります。
副作用は第1世代より軽減されていますが、眠気や口の渇きが出たり、他の薬との相互作用に注意が必要なものもあります。
◆抗ロイコトリエン薬
気管支喘息の治療に使われる薬ですが、アレルギー性鼻炎に対しては「プランルカスト水和物」という内服薬があります。
ロイコトリエンが鼻の粘膜や気管支にある受容体に結合するのを防いで、粘膜のむくみや腫れを抑える作用があり、主に鼻づまりの改善のために使われます。
くしゃみ・鼻水にもある程度の効果があります。飲み始めから1週間ほどで効果が現れてきます。
副作用で下痢、腹痛、吐き気などが起こることがあります。
◆抗プロスタグランジンD2・トロンボキサンA2薬
主に鼻づまりの改善のために用いられている薬で、「ラマトロバン」という内服薬があります。
鼻粘膜などのトロンボキサンの受容体を遮断して鼻づまりを改善します。
また、プロスタグランジンD2の受容体を遮断して鼻粘膜の過敏性を抑えるため、くしゃみ・鼻水にも効果があります。
ただ、効果の現れ方は緩やかで、ピークに達するまでに4週間ほどかかります。
副作用で血液が固まりにくくなることがあり、ワルファリンカリウムやアスピリンを飲んでいる人には適しません。
肝障害が起こる可能性があるので、定期的な肝機能検査が必要とされています。