不整脈②不整脈のタイプ
『不整脈』にはさまざまなタイプがあり、特徴によって細かく分けられます。 危険なタイプの不整脈が起こると、突然死につながったり、脳梗塞を引き起こしたりすることもあります。 特に、心臓などに病気がある人は、危険なタイプの不整脈を起こしやすくなります。 不整脈のタイプは、治療が必要かどうかということにも関わってくるため、自分が持っている不整脈のタイプを知ることが大切です。
■不整脈のタイプ
拍動が早くなるタイプと遅くなるタイプがある
不整脈には、大きく分けて、通常の拍動(健康な大人では1分間に60~100回程度)よりも速くなる 「頻脈性不整脈」、逆に遅くなる「徐脈性不正脈」の2つのタイプがあります。 これらはさらに、心拍数などに応じて、さまざまなタイプに分けられます。 そのほかに、規則正しく起こっている拍動と拍動の間に、タイミングがずれて少し早く拍動が起こる 「期外収縮」というタイプの不整脈もあります。
●頻脈性不整脈(心拍が早くなる)
拍動が「1分間当たり100回」を越えた状態が持続的に続くもの(上室性頻拍、心房細動、心房租動、 心室頻拍、心室細動)と瞬間的に早くなるもの(期外収縮など)があります。
じっとしていても発作的に拍動が速くなる「動悸」を感じ、ひどくなると「胸苦しさ」を伴ったり、 「失神」したりすることもあります。 「頻脈性不整脈」であまり心配がいらないのは、 脈が一瞬跳ぶように感じられる「期外収縮」で、 健康な人にもよく見られます。 治療が必要なのは1分間の拍動が約150~200回の「頻脈」、 約300回の「粗動」、約400~500回の「細動」というタイプで、脈拍数が多いほど危険だといえます。
心房または心室が痙攣状態になる「細動」は、命に関わることもあります。 「心房細動」では、発作が長く続くと、心房内での血流が滞って血栓ができやすくなります。 この血栓が血流に乗って脳の血管に届くと、脳の血管が詰まる「脳梗塞」を起こすことがあります。 最も危険なのは「心室細動」です。心室が痙攣して収縮できなくなるため、心臓から血液が送られず、 「突然死」につながります。ただし、心室細動は心臓に病気がない人にはまず起こりません。 日頃から心臓病の有無を確かめておくことが大切です。
●徐脈性不整脈(心拍が遅くなる)
拍動が「1分間当たり50回」未満の状態が持続的に続くもの(洞性徐脈、完全房室ブロックなど)と、 瞬間的に遅くなるもの(第2度または高度房室ブロックなど)があります。
心臓から送り出される血液の量が少なくなるため、少し体を動かしただけでも「だるさ、息切れ」などの症状が現れ、 ひどくなると「めまい、失神」を起こすこともあります。 高齢者では、「何となく元気がない」という症状もしばしば見られます。 徐脈性不整脈は、失神した場合に転倒などの事故を起こさなければ、通常、命に関わる不整脈ではありません。
●期外収縮
期外収縮では、脈が飛んだように感じられることもあります。 期外収縮はたいていの人に起こっているもので、ほとんどの場合、心配は要りません。
■主な不整脈
- ▼心室細動
- 心室のあちこちで異常な電気刺激が発生し、不規則に痙攣して全く収縮ができなくなる。 死につながる危険な不整脈。
- ▼心室頻拍
- 心室で異常な電気刺激が連続して発生するもので、拍動が極端に速くなる。 死につながるものもある危険な不整脈。
- ▼房室ブロック
- 房室結節の異常により、電気刺激が心室にうまく伝わらなくなる。
- ▼洞不全症候群
- 洞結節の異常により、電気刺激が出なくなったり、不規則になったり、途中で止まったりする。
- ▼心房細動
- 心房から発生した異常な電気刺激により、心房が速い不規則な興奮を繰り返す。 脳梗塞を招きやすい。
- ▼心房粗動
- 心房内の一定の経路を異常な電気刺激が旋回する。心不全につながりやすい。
- ▼心房頻拍
- ▼発作性上室性頻拍
- 通常の刺激伝導系のほかに刺激が伝わる別の経路があり、その間を電気刺激がグルグル巡って、 発作的に頻拍が起こる。
- ▼期外収縮
- 洞結節以外から通常より速いタイミングで電気刺激が起こる。 心房で起こる「上室性」と心室で起こる「心室性」がある。