高血圧対策に『糖質制限食』③

糖質制限食は、第一段階では、砂糖を使った甘い飲料水(ジュースなど)や洋菓子・和菓子・スナック菓子、 糖質の多いビールや日本酒を控える、 第二段階では、主食(ご飯・パン・麺類など)の摂取量を減らす、 第三段階では、食事での主食を抜くという3段階でおこないます。

また、糖質制限食はただ単に食べる量を減らす断食行のような食事療法ではありません。 糖質を減らす代わりにおかずをたくさん食べ、タンパク質・脂質・ビタミン類・ミネラルなど、 他の栄養素を十分に補う必要があります。


■糖質の摂り過ぎで血糖値が乱高下

糖質制限食は、文字通り、糖質を減らす食事療法で、おおよそ、次の3の段階で進みます。
第一段階では、砂糖を使った甘い飲料水(ジュースなど)や洋菓子・和菓子・スナック菓子、糖質の多いビールや日本酒を控えます。 同時に、ジャガイモ・カボチャ・人参といった糖質の多い野菜も減らすのです。 また、この段階では、食事の食べる順番を工夫します。最初に野菜のおかずだけを食べ、 次にタンパク質が多い肉・魚・卵・大豆のどのおかずを食べ、 最後に主食を食べるのです。あらかじめ、胃腸に野菜やタンパク質のの消化物があるとがあると、 そのあとに摂った主食の糖類の吸収が穏やかになるので、インスリンの過剰分泌が抑えられます。 なお、主食のご飯は、できれば白米をやめて玄米、パンならば全粒粉パンやライ麦パンに替えると理想的です。 この段階で血圧や血糖値が改善しなければ、次の段階に進みます。

第二段階では、主食(ご飯・パン・麺類など)の摂取量を減らします。 例えば、ご飯を大人用の茶碗で一善食べている人は、子供用の小さな茶碗一善に減らします。 また、食パン6枚切りを1~2枚食べる人は8枚切り1枚に減らし、蕎麦やうどんは丼でなく、 お椀一杯くらいの量に減らすのです。 これでも不十分であれば、次の段階に進みます。

第三段階では、食事での主食を抜きます。もっとも、いきなり三食で主食を抜いたりしません。 初めは夕食のみで主食を抜き、慣れてきたら朝食または昼食と夕食の2食で主食をやめます。 そして、最終的に三食とも主食を抜くのです。

多くの患者さんは、第二段階あたりから高血圧が徐々に改善し、降圧薬の量を減らすことができ、 継続していけば根治も夢ではありません。


■肉や魚などのタンパク質を十分に補う

ところで、糖質制限食はただ単に食べる量を減らす断食行のような食事療法ではありません。 糖質を減らす代わりにおかずをたくさん食べ、タンパク質・脂質・ビタミン類・ミネラルなど、 他の栄養素を十分に補う必要があります。 特に低血糖症で高血圧の人が積極的に摂らなければならないのはタンパク質です。 タンパク質の構成成分であるアミノ酸は、血管や皮膚、筋肉など体の様々な組織を形作る栄養素で、 とりわけ循環器の働きを健全に保つために欠かせません。例えば、イワシに含まれているアミノ酸(イワシペプチド)は、 血圧を安定させるこ効果のあることで知られています。

そもそも現代人は、糖質を摂り過ぎている反面、タンパク質が慢性的に不足しています。 国の調査によると、三大栄養素の摂取比率は、糖質が5~7割、タンパク質が2~2.2割、脂質が1~2割となっています。 そこで糖質制限食では、タンパク質の摂取割合が5割以上になることを目標にするのです。 具体的に摂ってほしい食材は、肉、魚、卵、大豆、乳製品などです。タンパク質は一種類に偏らず、 いろいろな種類をまんべんなく食べるようにします。 例えば、朝食はオムレツとヨーグルト、昼食は肉野菜炒め、夕食は焼き魚といったぐあいに食材を使い分け、 肉や魚の種類も日によって替えましょう。豆腐や納豆、厚揚げなどの材料となる大豆には体内の余分なナトリウム(塩分) を排出するカリウムが多く含まれていて、天然の降圧薬といわれるカルシウムやマグネシウムも豊富です。

さらに、食事では野菜をふんだんに摂ることが大切です。先に述べた糖質のイモ類や根菜類を除けば、 好きなだけ食べて構いません。ポイントは野菜とタンパク質の食品を一緒に摂ることです。 タンパク質の食品は、体内で野菜に含まれるビタミン類やミネラルの吸収を助けます。 同時に、野菜のビタミン類やミネラルは、タンパク質の代謝を促すのです。 高血圧の改善を目的に野菜を摂るなら、大豆のようにカリウム、カルシウム、マグネシウムが豊富に含まれるものを 中心に選ぶとよいでしょう。カリウムが豊富に含まれる野菜は、ピーマン、ほうれん草、ニラなどです。 また、カルシウムはコマツ菜、チンゲン菜などに、マグネシウムはホウレン草に豊富に含まれています。