ギムネマ

ギムネマとは、「ギムネマ・シルベスタ」というインド原産の多年草であり、 南インドから東南アジア、中国南部などに分布します。 サプリメントとして利用されるのは、葉から抽出された成分です。 インドの伝統医療・アーユルヴェーダでは、糖尿病や肥満に効果のあるハーブとしてギムネマが用いられてきました。 ギムネマは、消化管での糖分の吸収を遅らせ、食後の高血糖を抑制することがわかっています。


■期待される効能

食後高血糖の抑制および血糖コントロールの改善。食生活改善による肥満対策。


■作用メカニズム

ギムネマの有効成分・ギムネマ酸は、糖質(炭水化物)の消化・吸収を遅らせ、食後の高血糖を抑制します。 通常、食事中の糖質が吸収されて血糖値(血液中のブドウ糖濃度)が上がるのに応じ、膵臓からインスリンが必要な量だけ瞬時に分泌されます。 インスリンの働きによって、ブドウ糖は筋肉細胞や脂肪組織に取り込まれ、過剰になると中性脂肪として脂肪細胞に蓄えられます。 ギムネマは、糖質の吸収を遅らせることでインスリンの分泌を緩やかにする作用を持ちます。


■科学的根拠

糖尿病の人においてはインスリンがゆっくりとしか分泌されないため、血液中のブドウ糖が処理されず、食事の後に血糖が急激に上昇します。 この場合、ギムネマによって、小腸からの糖質の吸収を遅らせることで、インスリンの分泌量のピークと血糖値の上昇とのタイミングを合わせ、 食後の血糖値の急激な上昇を抑えることができます。 次のような研究によりギムネマの効果が示されてきました。 まず正常ラットを用いた実験では、ギムネマを与えることで血糖値の上昇が抑えられ、インスリン分泌が緩やかになりました。 次に、糖尿病を発症したラットに対して22~35日間ギムネマを投与した研究でも、血糖値の上昇の抑制とインスリンの分泌量の低下が報告されています。 その他、動物実験において、ギムネマによる脂質代謝の改善作用や、高脂肪食摂取時の体重増加抑制作用などが示されてきました。 従って、糖尿病の場合、ギムネマによって食後の過血糖を抑えると、膵臓への負担を軽くするので、血糖コントロールの改善に役立つと考えられます。 臨床研究では、2型糖尿病患者における血糖コントロール改善作用が報告されています。 長期投与によって、血糖値及びHbA1c値(ヘモグロビンA1c、血糖コントロールの指標)を低下させました。 また、予備的研究では、コレステロール値低下作用も示唆されています。 さらに、他のハーブとの併用による体重減少作用を示した臨床試験も知られています。


■摂取方法

糖尿病や肥満の予防には生活習慣の改善が最優先されます。その上で、ギムネマを補助的に利用します。 ギムネマは、食事に含まれる糖質の吸収を遅らせるサプリメントであるため、食事の前に摂取します。


■注意事項

ギムネマの摂取開始後、腹部膨満感(お腹が張った感じ)や、おならが出やすくなるなどの胃腸症状が認められることがあります。 多くの場合、1ヵ月ほどで消失します。 一般的には特に問題となる健康被害や副作用は知られていません。ただし、糖尿病で治療中の場合、ギムネマの効果によって、 医薬品の必要量が変化することもありえます。したがって、念のため、主治医に相談の上、利用します。