癌を強力に予防する『緑茶』
緑茶には、癌細胞の自殺を促進する働きがあるとされ、 多飲すれば胃癌は薬3割、前立腺癌は約5割も発病率が低下するという調査結果が出ています。
■厚生労働省の調査
癌は1981年から日本人の死因のトップとなっており、特に最近では、日本人の2人に1人が癌にかかり、 3人に1人が癌で命を落とすといわれています。しかし、最新の大規模な疫学調査によって、 緑茶には癌を強力に予防する優れた効果のあることがわかってきました。
●胃癌と緑茶との関係
緑茶を1日5杯飲む人は胃癌が少ない
厚生労働省の研究班は、1990年から、岩手や秋田、新潟県など全国7ヶ所に住む40~69歳の男女約9万人を対象に、 胃癌の発病率と1日に飲む緑茶の量との関係について、7~12年かけて追跡調査を行いました。 この調査では対象者を、緑茶を1日に1杯しか飲まないグループ、1~2杯飲むグループ、3~4杯飲むグループ、 5杯以上飲むグループの4グループに分け、それぞれで胃癌の発病率について比較しました。 すると、女性においては、緑茶を1日5杯以上飲むグループは、1日1杯未満しか飲まないグループに比べて、 胃癌の発病率が3割程度低いことがわかったのです。ちなみに、男性についてはこうした差は認められませんでした。
◆喫煙していると緑茶の癌予防効果は消失する
厚生労働省の調査班は引き続いて、この疫学調査の対象となった約9万人のうち、3万7千人で、緑茶に多いカテキンが 血液中にどれだけ含まれているかを調べ、血中濃度の高低をもとに3グループに分けて、胃癌の発病率を比較しました。 すると、この調査でも、女性においてのみ、カテキンが1ミリリットル中に9.3ナノグラム(1ナノグラムは100万分の1ミリグラム) 以上あった高濃度のグループでは、血中濃度が低すぎて検出できなかった低濃度のグループと比べて、 7割上も胃癌の発病率が抑えられていたことがわかりました。
これらの2つの調査で、男性にカテキンの胃癌予防効果が認められなかったのは、男性に喫煙者の多いことが関係していると考えられています。 喫煙は、カテキンの癌予防効果を大幅に弱めます。 癌予防のために緑茶を飲む場合は、喫煙を止めることが大切です。
●前立腺癌と緑茶の関係
胃癌を招くピロリ菌の除菌にも効果絶大
また、厚生労働省の研究班は、男性特有の癌である「前立腺癌」と緑茶の関係についても調べました。 調査は、全国10ヶ所に住む40~69歳の男性約5万人を対象に10年かけて行われました。 この調査でも胃癌のときと同様に1日に飲む緑茶の量で、対象者を4つのグループに分け、 前立腺癌の発病率を比較しています。その結果、1日に5杯以上緑茶を飲むグループでは、 1日1杯未満のグループに比べ、進行性の前立腺癌の発病率が52%も低いことが確認されたのです。
●カテキンが癌を抑える仕組み
癌細胞のアポトーシスを促す
上記のような報告からもわかるように、緑茶に含まれるカテキンによるものと考えられています。 では、実際にカテキンはどのような仕組みで癌の発生を抑えるのでしょうか、 最近では、その仕組みも解明され始めています。
私たちの体を形作っている細胞はある一定期間を経ると、自らが自然に消滅する仕組みが働いて新たな細胞に替わります。 このように細胞が自ら消滅する仕組みは専門的には「アポトーシス」(細胞の自殺)といいます。 緑茶に含まれるカテキンには、癌細胞のアポトーシスを促す作用のあることがいくつもの研究でわかっているのです。 三重大学医学部教授の樋廻博重博士は、培養した人間の胃癌細胞に緑茶のカテキンを加え、観察するという実験を 行ったところ、胃癌細胞のアポトーシスを招いたことを確認しました。 静岡県立大学食品栄養科学部教授の伊勢村護博士も、カテキンを人間の癌細胞(組織球性リンパ腫細胞)に加えて 観察・分析しましたが、樋廻博士の場合と同様に、癌細胞のアポトーシスが起こったことが確かめられました。 また、このアポトーシスとは別に、カテキンは胃癌を招く原因とされるピロリ菌に対して強力な除菌作用を発揮することも、 多くの研究でわかっています。
【関連項目】:『カテキン』