ピロリ菌退治に『粉茶』

胃癌を招く重大原因といわれている「ピロリ菌」を簡単に除菌するには、 抗菌成分「カテキン」の豊富な「粉茶」が有効で、1日4杯飲むことが有効です。


■カテキン

静岡県の試験では、ピロリ菌が大幅減

「緑茶」には、ビタミンACEなど癌予防に役立つビタミンも含まれますが、現在、最も注目を集める特効成分といえば、 渋み成分の「カテキン」でしょう。 癌は、遺伝子が突然変異した細胞が増殖することで起こる病気です。 これまでの研究によって、緑茶のカテキンは、突然変異を起こす物質と反応して遺伝子の変異を防いだり、 たとえ遺伝子が変異して傷がついても修復力を高めたりして発癌を防ぐ働きのあることがわかってきました。 また、カテキンは、癌を引き起こす活性酸素の発生を防ぐ働きの強いことが指摘されています。

さらに、その後の研究により、カテキンは、胃癌の原因になる「ピロリ菌」の活動を弱めたり、 除菌したりする働きがあることも明らかになりました。 静岡県の県西部浜松医療センターの山田正美所長らの研究グループは、緑茶のカテキンのピロリ菌抑制効果を 調べる試験を行っています。試験の対象者は、茶所で知られる静岡県の中川根町に住む中高年(40~70代) の男女約1500人で、いずれも胃の不調のない人たちです。この中川根町の住人が飲む緑茶の量は1日平均7.6杯でした。 ピロリ菌の40代以降の感染率は全国平均で約80%です。それに対し、試験の対象となった中川根町の住人の感染率は 40代で47%、50代で55%にとどまっていました。 さらに山田所長らの研究グループは、ピロリ菌に感染している30~70代の34人に、緑茶から抽出したカテキンを 毎日700mgずつ1ヶ月間摂ってもらい、その除菌率も調べています。 ちなみに、700mgのカテキンとは、濃い目の緑茶の7杯くらいに相当します。 その結果、34人のうちの半数以上がピロリ菌の活動が弱まっており、6人はピロリ菌が胃の中から完全に消失していたのです。


●緑茶を飲むだけでなく、料理にも活用しよう

緑茶の中でカテキンが豊富に含まれているのは「番茶」などです。 こうした緑茶を1日に7杯以上飲むと、ピロリ菌の除菌効果が高まると考えられます。 しかし、毎日7杯以上の緑茶を飲むのは難しい人もいるかもしれません。 その点、茶葉を粉末にした「粉茶」なら、有効成分がお湯に抽出されやすいので、 ふつうの緑茶を飲むより少量ですみます。粉茶の場合は、1日4杯程度を飲めばカテキンを十分摂ることができるでしょう。 また、この粉茶を料理の混ぜて食べれば、有効成分が丸ごと摂れます。 鰹節やゴマなどを混ぜてふりかけにしたり、てんぷらの衣に混ぜたり、炒め物にふりかけたりして料理に使うのもおススメです。