油・脂の疑問解決

アブラは種類によって、体の中でも働きが異なります。それぞれのアブラの働きをよく知り、賢く摂取することが大切です。


■油は大きく4つに分類できる。

▼1.飽和脂肪酸
常温で固形の形状をした脂。バター、マーガリン、ラード、ココナッツオイルなど。

▼2.n-3系多価不飽和脂肪酸(オメガ3系)
EPAやDHAが中性脂肪の増加を抑制。エゴマ油、亜麻仁油、インカインチなど。

▼3.n-6系多価不飽和脂肪酸(オメガ6系)
身体の細胞を生成する成分が含まれている脂。ごま油、コーン油、グレープシードオイルなど。

▼4.一価不飽和脂肪酸
動脈硬化などを予防するオレイン酸が豊富。オリーブオイル、米油、紅花油など。

■摂り過ぎも不足もダメ、バランスよく、程よく摂る

”食品に含まれるアブラや調理に使うアブラは、すべて控えた方がよい”と考える人が多いようです。 確かにアブラの種類によっては、摂り過ぎは動脈硬化を進行させ、 心筋梗塞脳卒中認知症などの原因になることがあります。 しかし、私たちの体にとって、アブラ(脂質)は欠かすことのできない栄養素の一つです。 貯蔵エネルギーになるだけでなく、臓器を保護したり、寒さから体を守ったりするなどの働きもあります。 厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、総摂取エネルギーの20%~30%を、脂質から摂るのが望ましいとされています。 アブラはただ減らすのではなく、他の栄養素とのバランスを考え、程よく摂ることが勧められます。


■動物性か植物性か、どのような脂肪酸かで選ぶ

アブラは大きく2つに分けられます。1つは常温で固体の「脂」で、主に動物性のアブラが含まれます。 もう1つは常温で液体の「油」で、植物性のアブラや魚のアブラが含まれます。 また、アブラはいろいろな種類の「脂肪酸」を含んでいます。 どのような脂肪酸を多く含んでいるかによって、体の中での働きが異なります。 脂肪酸には次のような種類があります。

▼飽和脂肪酸
常温で固体の「脂」に多く含まれている脂肪酸です。肉の脂身、ラード、乳製品などに多く含まれ、 摂り過ぎると肝臓でのコレステロールの合成を促進し、動脈硬化を進行させます。 「日本人の食事摂取基準(2015年版)では、摂取エネルギー量全体に占める飽和脂肪酸由来のエネルギー量を、7%以下にすることが目標とされています。

▼不飽和脂肪酸
常温で液体の「油」に多く含まれている脂肪酸です。主に植物性の油や魚から摂取することができます。 化学的な構造の違いにより「一価不飽和脂肪酸」「多価不飽和脂肪酸」に分類されます。 さらに、多価不飽和脂肪酸は、「n-6系」「n-3系」に分類されます。 一価不飽和脂肪酸はオレイン酸に代表され、オリーブ油や紅花油などに多く含まれています。 飽和脂肪酸の代わりに使うと、血液中の悪玉(LDL)コレステロール値を下げる働きがあります。 n-6系多価不飽和脂肪酸にはリノール酸などがあり、大豆油やコーン油などに多く含まれています。 悪玉コレステロール値を強力に低下させる働きがありますが、善玉(HDL)コレステロール値も下げてしまうので、摂り過ぎには注意が必要です。 n-3系不飽和脂肪酸にはα-リノレン酸などがあり、エゴマ油や アマニ油などに多く含まれています。 αリノレン酸は体内に入ると EPADHAという脂肪酸に変化します。 サンマやサバなどの青魚の油には、このEPAやDHAが豊富に含まれています。 EPAやDHAは中性脂肪値や血圧を下げたり、血液を固まりにくくして血栓を予防するなどの働きをします。

■日本食中心の「一汁三菜」なら程よい量の油が摂れる

炭水化物やタンパク質のエネルギー量が1g当たり4kcalであるのに対し、アブラ(脂質)は1g9kcalと、高エネルギーです。 アブラは体に必要な栄養素ですが、摂り過ぎれば肥満に繋がるので、程よく摂ることが大切です。 そこで勧めたいのが「一汁三菜」の日本食です。 ご飯などの主食のほかに、味噌汁などの汁物、肉や魚を中心とした主菜、野菜を中心とした副菜を2品加えるようにしましょう。 こうした組み合わせにすることで、自然と栄養バランスの取れた食事になります。 アブラに関しても、さまざまな脂肪酸をバランスよく、程よい量を摂ることができます。 このような「一汁三菜」の日本食は、昭和40年代くらいまで、家庭で普通に食べられていました。 当時の日本では、動脈硬化が非常に少なかったことがわかっています。 アブラを上手に摂ることに関しては、当時の食事がとても参考になります。


■油についての豆知識

●油は体にいいのか、悪いのか?

1日に食事で摂る中の1/4~1/5は脂肪のエネルギーを摂らなければいけなません。 いいか悪いかというと、適量は摂らないと人間の身体にはデメリットになってしまいます。 摂取した油脂は、体内で脂肪酸という物質に変化。脳を活性化させるエネルギーや細胞組織の生成に必要な成分になります。 しかし、摂り過ぎると、動脈硬化や心疾患の原因になります。


●では、調理油の適量は?

成人男性であればだいたい15g~18g、大さじで1日2杯が目安になります。
調理油以上に気を付けなければならないのが「見えないアブラ」。 それは、肉類、乳製品、お菓子、パンなどの食品にもともと含まれている脂質が見た目では分からない食品です。 例えば、牛乳にはコップ1杯200mlに7.6gの脂質が含まれています。


●動物性脂肪を摂り過ぎるとどうなるか?

この数十年、食生活が洋食スタイルに変わってきているため、 食事に含まれる動物性脂肪の割合が50年前に比べて3倍になっています。 動物性脂肪を摂り過ぎると悪玉コレステロールが増え、血管を硬くさせたり細くしたり、動脈硬化を進めてしまいます。 実は、成人が1日に摂取していい脂質の量は約60gとされ、例えば調理油を18g摂った場合、 見えないアブラは残りの42gに抑えなければなりません。


●次の5つの料理のうち見えないアブラが一番多い料理は?

①豚の角煮②ピザ③ホットケーキ④チンジャオロース⑤肉じゃが

【答】1位:豚の角煮(40.5g) 2位:ホットケーキ(28.5g) 3位:肉じゃが(19.1g)  4位:チンジャオロース(17.1g) 5位:ピザ(14.9g)

見えないアブラは見た目では判断できないので注意が必要です。 気になる人は商品パッケージに記載されている栄養成分表示や食材自体の脂質量がわかる「食品成分表」をチェックしてみてください。


●動物性油脂と植物性油脂では動物性油脂の方が悪いのか?

一般的には、動物性脂肪はコレステロールや中性脂肪値を上昇させたり、 動脈硬化や脳梗塞・心筋梗塞を起こしやすいといわれています。 ただし、魚に含まれている動物性脂肪は、動脈硬化を予防したりや血液をサラサラにするEPAやDHAが多く含まれているので、 週の半分は魚料理を食べるとよいでしょう。


●揚げ物を食べるときに野菜と一緒に食べるといい?

これは正解。油と野菜を一緒に摂取すると、体内で油脂の吸収が抑制されます。 さらに、野菜の栄養素の吸収を働きを進めてくれる働きがあります。


●油の使い回し

揚げ物の油の使い回しはNG。酸化した油を食べると体に悪いのです。 油は熱したり冷ましたりを繰り返すことで酸化が進んでしまいます。その油を摂取してしまうと発癌性が増します。 さらにコレステロールも酸化してしまい、これを「酸化コレステロール」といいますが、 酸化コレステロールは、動脈硬化をより進める危険性があります。

ある実験では、開封したばかりの油は酸化度が0%でしたが、一度使用したところ酸化度は5.5%になり、 2回目では7.5%、3回目では10%、4回目では11.5%と上昇しました。 今すぐ健康に害を及ぼすという数値ではありませんが、決して身体に良いことではありません。 酸化した油による癌や動脈硬化を予防するには、油の使い回しはなるべく控えましょう。