アントシアニンを豊富に含む食品
『カシス』
「黒い食品」は、アントシアニンを豊富に含んでいるのでおり、目の働きを高める優れた効果があります。 そのなかでも、特にお勧めなのが「カシス」です。 カシスは、数ある黒い食品の中でも、アントシアニンを断然多く含んでいます。 カシスのアントシアニンの含有量は、黒豆や干しブドウの6〜8倍にも達し しかも、デルフィニジン−3−ルチノシド、シアニジン−3−ルチノシドというカシス特有のアントシアニンが含まれています。 こうしたカシスのアントシアニンは、目の毛様体筋の血行を促す効力も 抜群と考えられています。
■近視の原因
近視の主原因は、毛様体筋のこわばり
今の日本で近視に悩む人が増えていることは、皆さんもご存知でしょう。 近視の原因はさまざまですが、「毛様体筋」という目の筋肉のこわばりが主原因だと考えられています。 私たちの目には、カメラでいえばレンズに当たる「水晶体」という器官があります。 この水晶体の厚みを変えて、目のピント調節をしているのが毛様体筋。 近くを見るときは、毛様体筋が緊張して水晶体を厚くし、遠くを見るときは、毛様体筋が緩んで水晶体を薄くします。 ところが何らかの理由で、毛様体筋がこわばるとピントが調節できなくなります(ピントフリーズ現象)。 この状態を繰り返していると、毛様体筋の柔軟さがなくなって、水晶体を薄くできなくなり、やがては近視を招くのです。
では、毛様体筋はどうしてこわばってしまうのでしょうか。その理由の一つと見られているのが、近くばかりを見る生活。 家庭や職場でパソコンや携帯電話が普及し、私たちは、これらの機械の画面を長い間凝視することが多くなりました。 その結果、毛様体筋も長時間の緊張を強いられ、こわばりやすくなってしまったのです。 実際に、近視は20歳を過ぎると進まないといわれてきましたが、今では30代以上でも、仕事でパソコンをよく使う人の中で、 近視の進む人が増えています。もう一つの理由と見られているのが、運動不足による毛様体筋の血流低下。 交通機関や家電製品の発達などによって、私たちは体を動かす機会が減っています。 そのため、目の血流も低下しやすいといえるでしょう。毛様体筋は、血液によって運ばれてきた酸素や栄養を受け取り、 二酸化炭素や老廃物を血液によって運び出しています。そのため、毛様体筋の血流が滞れば、毛様体筋の働きが悪くなり、凝り固まってしまうのです。
●近視の予防・改善
毛様体筋を活気づけて、近視を予防・改善するには、パソコンや携帯電話などの長時間の使用を控え、 目を休めることが肝心。加えて、ウォーキングのような適度な運動も行って、血行を促すといいでしょう。 遠くの山や森などの緑を見ることも近視の予防・改善には効果的です。
●アントシアニン
さらに、食事では、網様体筋の血流をよくする食品を積極的に摂ることも役立ちます。 そこで、お勧めなのが黒豆や干しブドウなどの「黒い食品」を食べることです。 黒い食品には植物の色素成分である「アントシアニン」が豊富。 アントシアニンには、目の働きを高める、さまざまな優れた働きがあります。 その一つは、活性酸素を消す働きです。活性酸素は、動脈硬化を進めて血流を低下させる重大な原因になります。 アントシアニンは、活性酸素を消すことによって、目の血流アップに役立つのです。 もう一つは目の血管を若返らせる働き。アントシアニンは、目の周りに張り巡らされた毛細血管の柔軟さを保ち、 目の血流低下を防ぐのです。アントシアニンには、血液がドロドロになるのを防ぐ働きもあります。 そのほか、光の情報を受け取るロドプシンという目の成分の働きも高めます。 黒い食品の中でも、特にお勧めなのは『カシス』という小さな黒い果実です。
●カシス
ピント調節力を高める
『カシス』は欧州原産で、北欧やニュージーランド、カナダなどが主要産地です。 日本でも青森県などで栽培されています。カシスはこれまで、日本ではあまり知られていませんでしたが、 最近ではジャムやジュース、菓子などの材料として普及するようになりました。 カシスは、数ある黒い食品の中でも、アントシアニンを断然多く含んでいるといえるでしょう。 カシスのアントシアニンの含有量は、黒豆や干しブドウの6〜8倍にも達します。 しかも、カシスには、デルフィニジン−3−ルチノシド、シアニジン−3−ルチノシドという カシス特有のアントシアニンが含まれています。こうしたカシスのアントシアニンは、目の毛様体筋の血行を促す効力も抜群と考えられています。
◆カシスの有効実験
カシスアントシアニンが、目のピント調節力を高めることは、京都府立大学などの実験で明らかにされています。 実験では、弱い近視の約20人に、カシスアントシアニン50mgを摂るグループと、プラセボ(形は同じでカシスアントシアニンが含まれていないもの) を摂るグループに分かれてもらいました。 そして、パソコン作業を2時間行ってもらい、その前後で目の屈折値(ピント調節を行う水晶体の働きを示す値)を調べたのです。 その結果、カシスアントシアニンを摂ったグループは、作業後も屈折値の低下が見られませんでした。 そのほか、札幌医科大学の大黒教授らの研究によって、カシスアントシアニンには、緑内障の進行を抑える働きがあることも確かめられています。
◆カシスの摂り方
目の健康のためにカシスを摂るのであれば、1日あたり約40mgが適量。 これは生のカシス大さじ1杯分(約10g)に当たります。 生のカシスは、季節によってはニュージーランド産や青森産が入手できます。 最近では、カシスの冷凍食品や乾燥食品を扱う店も増えています。 カシスのジュースやジャムなど加工食品を利用してもいいでしょう。 それに、カシスアントシアニンを手軽に摂れるサプリメントも市販されています。 近視の予防・改善に、ぜひカシスを役立ててください。