DPA(ドコサペンタエン酸)

DPA(ドコサペンタエン酸)』は、オメガ3系脂肪酸の一種で、 動脈硬化の予防作用が非常に大きく、血管内皮細胞の遊走能を高める効果(動脈硬化予防の指標の一つ)では EPAの10倍以上もの効果が確認されています。またDPAには「血管新生の抑制効果」も確認されています。 血管新生とは、すでにある血管から新しい血管が伸びるもので、この新生を抑制することは さまざまな生活習慣病の予防につながると期待されています。


■「DPA(ドコサペンタエン酸)」とは?

生活習慣病予防効果がある

グリーンランドの原住民は野菜を摂取できないため 「EPA (エイコサペンタエン酸)」『DPA(ドコサペンタエン酸)』を多く含むアザラシの肉を主食としています。 そのため、人の脂質の摂取限度25%を越えて35〜40%を摂取しているにもかかわらず、 同じグリーンランドに住むデンマーク人よりも生活習慣病が少ないことが報告され、 近年アザラシの脂に含まれるDPAの有用性が注目されています。 DPAはEPA・DHA・αリノレン酸などと同様、オメガ3系脂肪酸の一種で、アザラシのほか、 一部の鯨にも含まれている成分ですが、魚には少ししか含まれていません。 アザラシオイル(シールオイル)には、魚油とほぼ同じ割合でEPAやDHAが含まれていますが、 オメガ3系のDPAは4.7%と魚油の数倍多く含まれています。

EPAは 動脈硬化の要因となるコレステロール値や中性脂肪値の上昇を抑制、 血栓の予防する働きがあることで知られています。 DHAは脳内に非常に多く存在していることから、神経細胞の情報伝達をスムーズにするなど、 脳細胞の機能維持に重要な役割 を果たしていることが解明されており、 記憶学習能力の維持向上、認知症の改善、視覚機能の維持向上などの働きがあることが知られています。 このオメガ3系不飽和脂肪酸、特に血液をコントロールする作用は従来、EPAが主だと考えられていました。 しかし、最近の研究の結果、アザラシ油の中に含まれているDPAと呼ばれる成分が EPAの10倍の働きがあることが判明しました。


●DPAの卓越した健康維持・増進効果

動脈硬化を予防し、血管新生を抑制する

DPAで特に注目したいのは、血管内皮細胞の「遊走能」を高める効果(動脈硬化を防ぐ力) が非常に強いということで、EPAの10倍以上もの効果が確認されています。 DPAは、血管の内側にある内皮細胞に作用して、 ここに悪玉コレステロール(LDL)が付着するのを抑制する力が非常に強く、 強力な抗動脈硬化作用を発揮するのです。 東京医科歯科大学の森田教授の実験でも、この血管内皮細胞の遊走能が、DPAはEPAの10分の1の濃度でEPAと 同等の効果(EPAの10倍以上もの効果)があることを示しています。 またDPAは総コレステロールを減少させるだけではなく、善玉コレステロール(HDL) を増加させる働きがEPAなどに比べてかなり高いといわれています。

さらに、DPAには「血管新生の抑制効果」も確認されています。 血管新生とは、すでにある血管から新しい血管が伸びるもので、この新生を抑制することは癌などの さまざまな生活習慣病の予防や抑制につながると期待されています。 加えて、DPAは私たちの体内でEPAやDHAに変わって、EPAやDHAの効果も期待できます。


●DPA関連項目

『心臓の動脈硬化「心室細動」』
突然死を招く怖い不整脈「心室細動」は、健康な人にも起こり、特に運動中や睡眠時に多発。 心室細動を防ぐには心臓の動脈硬化を追い払うのが最善策で、「DPA」を積極的に摂ることが有効です。 DPAは、魚油に含まれるn-3系脂肪酸の一種で、 動脈硬化を防ぐ働きが強いとされるEPAよりも10倍も強いことから、 心臓の動脈硬化を撃退し、命さえ奪う不整脈も防ぐ成分として注目されています。