ピロリ菌退治に『梅肉エキス』
最近の研究で、身近な食品の中に、ピロリ菌への抗菌効果が大きい特効食が見つかっています。 そのなかでも、昔から胃の薬として使われてきた梅肉エキスは、 ピロリ菌への抗菌効果が大きいことがわかり、特に注目されています。 実験では、梅肉エキスは試験管内のピロリ菌をほぼ全滅させ、ヒトでの試験でもピロリ菌を激減させました。
■「梅肉エキス」とは?
赤痢菌やコレラ菌も退ける
近年の研究によって、胃炎・胃潰瘍・胃癌などのさまざまな胃の病気の主原因が 「ピロリ菌」であることがわかってきました。 と同時に、身近な食品の中に、ピロリ菌への抗菌効果が大きい、いわば特効食ともいえるものがいくつも見つかっています。 例えば、緑茶・ココア・モズク・マヌカハニーなど。その中でも、ピロリ菌への抗菌効果の大きさで 特に注目されているのが、梅の果汁を煮詰めてできる『梅肉エキス』です。
梅は昔から健康に役立つことが知られており、約2000年前に書かれた『神農本草経』という中国の医学書にも、 梅の薬効がすでに記されています。日本では胃や腸の薬として、奈良時代から梅干や烏梅(梅の燻製)が珍重され、 明治時代に入ってからは梅肉エキスが普及しました。一昔前までの食卓には必ずといっていいほど梅干があったことを ご存知の方も多いでしょう。「梅を食せば医者要らず」「梅はその日の難逃れ」といったことわざもあります。 梅には、胃腸の働きを高めたり、血液を浄化したりするさまざまな薬効があります。 その中でも特筆されるのが殺菌効果。梅の果肉には、消毒剤や防腐剤に使われるホルマリンという成分の200倍もの 殺菌力があり、赤痢菌やコレラ菌、O-157(病原性大腸菌)などを退けるのです。
こうした梅の効果をもたらすのは、梅特有の「シリンガレシノール」や酸っぱさのもとになる 「クエン酸」といった梅の成分です。こうした梅の有効成分は梅干や梅ジャムなどでも摂れますが、 最もお勧めなのが「梅肉エキス」を日常的に食べることです。 梅肉エキスは、梅の有効成分が凝縮されています。しかも、塩分を大量に含まないので、高血圧の人でも安心して 摂ることができるといえるでしょう。さらに、梅肉エキスが、「ピロリ菌」への抗菌効果にも優れていることが、 最近の研究で明になってきました。
■梅肉エキスのピロリ菌への有効実験
半数の人はピロリ菌が減少
梅の有効成分を凝縮した梅肉エキスは、胃の病気をもたらすピロリ菌を退ける働きに優れています。
このことは、最近の研究で明らかになってきました。
滋賀県立大学・社会保険滋賀病院などの研究グループは、培養した試験管内のピロリ菌に、梅肉エキスを与える実験を
行いました。すると、濃度0.3%以上の梅肉エキスの溶液の場合、わずか5分後にピロリ菌の99.9%が死滅した
と報告しています。さらに、同研究グループは、ピロリ菌に感染した患者22名に、梅肉エキス(含有率1%)
の飲料約130mlを1日2回、3ヶ月間摂ってもらう実験も行ったそうです。この実験では、実験前と実験後に、
ピロリ菌の多さを示す尿素呼気試験値(UBT値)が測定されました。その結果、患者の約半数のUBT値が低下し、
3名はUBT値がほぼ正常になったと報告されています。UBT値が高かった人では、UBT値が大幅に低下した例も
あったそうです。このように、梅肉エキスを摂れば、ピロリ菌を減らすことが期待できます。