ストレスとうまく付き合う方法

ストレスを失くすことは難しくても、工夫をして対処することはできます。 いつでも誰でもできるストレス対策を紹介します。


■思考を変える”4つの切り札”

ストレスは、生きていくうえで避けては通れないものですが、工夫次第でうまく解消したり、ストレスとうまく付き合う方法を身に付けることは可能です。 ストレスによって落ち込んだり、苦しい状況になると、人は悲観的・否定的な考え方に陥りやすくなります。

<<ストレスによって陥りやすい悲観的・否定的な考え方のパターン>>
▼勝手に決めつける
あいさつをしたのに相手に無視されてしまい、それを「嫌われたに違いない」と勝手に思い込む。

▼100点でなければ0点
会社の会議での発表で、ちょっとした言い間違いをしただけなのに「完全に失敗した」と悲観する。

▼きっとまたこうなる
過去に同じことで1回でもミスがあったら、それが原因で「今回もまたミスをしてしまうに違いない」と悪い方に考える。

▼何もかも自分のせい
「失敗したのは、すべて自分が悪かったからだ」と、一人で責任を抱え込んでしまう。

●対処法(4つの切り札)

ストレスに対処するためには、前記のような思考パターンを変えていくことが必要です。 その”切り札”となるのが次の4つの考え方です。

▼自己肯定
「自己肯定」とは、どんな自分も受け入れ、認めることです。 それによって、他の人からの評価に左右されることなく、自分の価値を感じることができて、認めることができるようになります。 「自己肯定」の感覚を持つためには、まず自分の特徴について、肯定的に言い換えたり、見方を変えてみます。 例えば、「自分は体調に不安ばかり抱えている」という人であれば、「健康を意識して、自分の体を大切に気遣っている」というように考えてみましょう。 また、自分が”ダメ”な理由の分析よりも、「どのようにしたらうまくいくのか」という具体的な方法を考えるようにします。 ストレスでつらいはずの自分を、自分自身で責めてしまっていないか、振り返ってみましょう。 苦手なことや不慣れなことも、ありのままに受け止めれば、自分を過小評価したり全否定することはなくなります。 自己肯定感が高まると、物事を肯定的に捉えられるようになり、何事にも前向きに取り組めるようになります。

▼自己効力
「自己効力」とは、何かに取り組むにあたって、”きっとできるだろう””耐えられるだろう”と思える感覚のことです。 この感覚は、人が行動を起こす際に大きな影響を及ぼします。 自己効力の感覚を身に付けるのに最も有効なのは「成功体験」です。 人は成功体験を積むと、自信が持てるようになり、さらなる成功体験を得ようと努力する傾向があります。 もう1つのポイントは、「うまくいくだろうか」と、結果の予測ばかりをイメージするのではなく、「ここまで十分に努力してきた」という実感や、 「まだ余力がある、まだやれる」というイメージをしっかりもつことです。 また、知識や経験が豊富で自分に助言を与えてくれる人を見つけ、その人から評価されることも、自己効力を高めることに繋がります。

▼首尾一貫
ここでいう「首尾一貫」とは、一般に使われる場合の意味とはやや異なり、「ストレスに対処するための強い”支え”がある」ということです。 具体的には、次の3つの感覚が柱となります。
1つ目は「困難を乗り越えて生きようとする感覚」です。この感覚は、任されたことや新しいことへのチャレンジが、「自分にとってどんな意味があるのか」 を常に考えることで磨かれ、困難に対しても意欲的になることができます。 2つ目は「将来起こることを予測できる感覚」です。この感覚は、身の回りの出来事を正確に把握することによって得られます。 それによって、将来に起こる展開をある程度予測することができ、余裕をもって対応できるようになります。 3つ目は「周囲からの協力が得られるという感覚」で、これは共同作業や人との付き合いを大切にすることで得られます。 それにより、周囲の人との間にお互いに協力する関係が生まれ、一人だと難しいと思われることに対しても、”できる”という感覚が得られやすくなります。

▼自己回復力
「自己回復力」とは、誰もが持っている”心の回復力”です。ストレスを跳ね返す”心の弾力”といえます。 十分な自己回復力を保つためには、まず、自分の未来について悲観ばかりせずに、「満更悪くはない」と、ある程度肯定的に受け入れましょう。 喜怒哀楽が極端に偏っていないかどうかを、自分で観察する習慣を身に付けることも大切です。 また、誘われた集まりなどにはいろいろと参加してみて、興味や関心を広く持つようにしてみましょう。

●行動を起こし、原因を取り除く

しかし、自分なりに考え方を工夫してストレスに対処しようとしていても、日々、さまざまな難題がやってくるものです。 そのようなときは、まず行動してみるとよい場合もあるのです。 例えば、責任が重い仕事を任せられたり、思いもよらない出来事で精神的なダメージを受けたようなときに、”考え方や気持ちの持ち方だけで対処する”というのは、 実はとても難しいことです。「つらい」「嫌だ」という否定的な気持ち自体を何とかしようとするよりも、 「取り組む前に情報を集めて策を練る」「同僚や家族、友人に相談してみる」など、否定的に感じさせる物事や事態を、まず動かし、 取り除くための”行動”を起こしましょう。


●体を動かすこともストレス解消に

運動も、手軽で簡単にできるストレス解消の方法です。 運動をすると、「エンドルフィン」というホルモンが脳内で分泌され、高揚感や満足感、幸福感が高まり、嫌な感情や不安が和らぎます。 エンドルフィンは、ランニングなどの心肺機能を高める運動を行うと分泌されることがわかっています。 また、本格的な運動でなくても、通勤や通学の際に、今までより歩幅を広くしてリズミカルに歩いたり、公園などで少し速度を上げて散歩をするのも効果的です。

【関連項目】:『運動不足解消』

【お勧めは「休日の散歩」】
晴れた休日に散歩をすると、エンドルフィンが分泌されるだけでなく、五感も刺激されてリラックス効果が得られます。 散歩中に飲み物を飲んだり、店に入って食事をすれば、味覚も刺激されます。


【鬱病を予防するためにもストレス対策を】
ストレスは、鬱病の原因になることが知られています。 鬱病を発症すると、元の状態に回復するまでには、大きな困難が友なります。 現在、鬱病を予防するためのストレス対策が、世界的にも重要視されています。 ぜひ日頃からストレス対策を心がけるようにしてください。