筋肉を強化して低体温を改善する

低体温を改善する第一は、身体の最大の発熱器官「筋肉を強化する」ことで、 なかでも、スクワットが最も効果的な筋力アップ法です。


■筋力アップ

体熱の40%は、筋肉で産生される

低体温の人は女性に多く見られますが、その原因として、女性は男性に比べて筋肉が少ないことがあげられます。 実は、人間の体温の40%以上は筋肉から生み出されています。血液中の糖分は筋肉の細胞内に取り込まれて 筋肉が動くときのエネルギー源になり、その結果熱が発生するのです。そのため、筋肉の量が少なければ、 熱はうまく産生されずに体温も低いままになります。 また、私たちは、運動をしていないとき(安静時)でも、呼吸や内臓の働きなどでエネルギーを消費していて、 熱を産生しています。これを基礎代謝といいますが、基礎代謝によって生じる熱量の約20%も筋肉で産生されているのです。 つまり、筋肉は、私たちの体の主要な発熱器官としての役割も果たしているのです。 しかも、筋肉の産熱量は、運動によって一気に全体の80%にまで上昇することがわかっています。 女性の場合、男性に比べて筋肉の量が少ないことに加えて、運動不足や加齢によって衰えやすいという弱点があります。 そのため、産熱量が不足し、低体温に陥りやすくなるわけです。

人間の健康にとって、筋力がいかに重要か、明快に示す事例があります。 例えば、癌治療に用いられる抗癌剤は副作用を起こすことがあるため、治療に際しては体力が勝負になります。 体力とは筋力と言い換えても過言ではありません。筋力が低下している人は低体温で免疫力も弱いため、 抗癌剤の副作用に打ち勝つことが困難になります。 反対に、筋力が強い人は体温が高く免疫力も強いため、抗癌剤の副作用を乗り越えて病気の回復も早まります。 このように、筋力が健康を回復するカギになることは医療の現場でも広く認められており、 リハビリに筋力トレーニングを導入する病院も増えているのです。


●筋力アップの仕方

全筋肉の7割が集まる下半身を強化しよう

では、筋力をアップさせて低体温を解消するためには、どうすればいいのでしょうか。 その秘訣は、下半身の筋肉を強化することです。なぜなら、全身の筋肉の約7割は下半身に集中しているからです。 そこでまず大事なのは、日常生活の中でよく歩くことです。息が少し弾む程度の早足歩きを1日20分以上続ければ、 筋力アップに効果的で、低体温の改善にもつながります。 とはいっても、忙しくて歩く時間が取れない人もいるかもしれません。そうした人におススメなのが 「スクワット」です。スクワットは、立った状態から膝を曲げてしゃがみ、すぐに立ち上がる動作を繰り返す 屈伸運動で、下半身の筋肉強化にうってつけです。また、膝や腰に痛みが出ている人には、もっと手軽な運動があります。 それは、「かかとの上げ下げ」です。やり方は、両足を少し開いて直立し、その場でかかとを上げたり下げたり するだけです。かかとを5回上げ下げするのを1セットとし、最初は1日5セットから始め、慣れてきたら10セットまで 増やします。上げ下げのスピードも最初はゆっくり行い、徐々に自分のペースに合わせて速めていくといいでしょう。