乳がんのタイプ別薬物治療

乳がんでは、ほとんどの患者さんが薬物療法を行います。 最近、遺伝子の研究が進んだことで、乳がんにはいくつかのタイプがあることがわかってきました。 乳がんのタイプごとに効果的な薬を使えるようになり、選択肢も増えてきています。 現在は乳がんだからといって一律に同じ治療をするのではなく、乳がんのタイプによって、薬を使い分けたり、手術の後だけでなく、 手術前にも薬を使うことが検討されます。


■乳がんの薬物治療

がんを小さくしたり、再発を防ぐために行う

●浸潤がんの場合に薬物療法が行われる

乳がんの多くは乳管から発生します。乳管の中にとどまっているがんを非浸潤がん、乳管の壁を破って広がるがんを浸潤がんといいます。 非浸潤がんは早期のがんで、この段階ではリンパ節や他の臓器に転移することはありません。 一方、浸潤がんは進行している状態です。がんが乳管の外へ広がり、リンパ節や他の臓器に転移する可能性があります。 浸潤がんの場合、転移を防ぐために、薬物療法が行われます。 乳がんのおよそ80%は浸潤がんなので、実際にはほとんどの患者さんが薬を使うことになります。

●薬物療法が進歩している

近年、がん細胞の増殖の仕方によるタイプ分けの研究が進んだことで、それぞれのタイプごとに効果的な薬を使えるようになってきています。 それとともに、効果の薄い薬を使わずに済むことで、患者さんへの体の負担も減ってきています。

●手術前か手術後に行う

▼手術前
抗がん剤でがんが小さくなる見込みがある場合には、抗がん剤を使用した後に手術を行います。

▼手術後
手術でがんを切除した後も、体のどこかにがん細胞が散っている可能性があります。 それを死滅させるため、全身に効果のある薬を手術後に使い、がんの再発を防ぎます。