【質問】睡眠導入剤の使用を止めたい

病気をするなど、いろいろなことが重なって不眠になり、2年前から睡眠導入剤を使用しています(1回1錠)。 副作用が心配なので、早く使用を止めたほうが良いと思っているのですが、少し癖になったようで止められません。 どうしたら、睡眠導入剤の使用を止めることができるでしょうか。(60歳代・女性)


【答】

睡眠薬(睡眠導入剤や眠剤とも呼ばれる)を服用しておられる方からの質問です。 睡眠薬は無期限に服用する薬ではありません。治療が必要な不眠症とは、「寝つきが悪い、何度も目が覚める、早く目が覚め過ぎる、熟睡感がない」 などの夜間の不眠症状に加えて、「眠気のために日中の活動に支障がある」などの昼間の症状がある場合です。 昼間の眠気が治まるなど心身の調子がよくなり、夜間の不眠症状が改善していれば、不眠症が改善してきていると考えられるので、 睡眠薬の減量、休薬の時期と考えられます。 ただし、まだ昼間の眠気などが続いている間は、睡眠薬による治療が引き続き必要と考えられますので、服用は続けたほうが良いでしょう。 毎日睡眠薬を服用しておられる方が急に服用を止めると、その直後の数日間、返って眠れなくなったり、動悸・吐き気・不安感が出たりすることがあります。 これを、睡眠薬の「離脱症状」といいます。 この離脱症状を避けるためには、睡眠薬をゆっくりと減らしていくことが大切です。


睡眠薬には、ベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系、メラトニン受容体作動薬などの種類があります。 特に、ベンゾジアゼピン系を長期間服用すると、離脱症状が起こりやすくなります。 ベンゾジアゼピン系の睡眠薬を非ベンゾジアゼピン系睡眠薬に変更してから止めると、止めやすいという報告もあります。
ご質問者は毎日1錠の睡眠薬を服用しておられるとのことですので、減らす時には1錠を4つに割って、 最初の1~2週間以上は3/4錠くらいを服用し続け、それで調子がよさそうなら次の1~2週間以上は1/2錠くらいに減らすということを繰り返し、 徐々に減らしていくとよいでしょう。睡眠薬を減量した直後は、若干、睡眠の質が悪くなったと感じることがありますが、多くは数日で回復します。 しかし、減薬後に不眠の症状が数日以上続く場合には、不眠症が治っていない可能性が高いと考えられます。 その場合には、減薬を一時中止して、減らす直前の薬の状態に戻すことで、またよく眠れるようになります。

このように、症状を見ながらゆっくりと減らしてゆく「漸減法」により、離脱症状を避けながら睡眠薬を止めることができます。 担当医と相談しながら、ゆっくりと時間をかけて減薬、休薬していきましょう。