メラトニン

不眠症』の自力改善に活躍!朝の光刺激で夜に分泌される睡眠ホルモン『メラトニン


■50歳を過ぎると睡眠力は衰えるもの

「布団に入ってもなかなか寝付けない、やっと眠れても、夜中に何度も目が覚める」「朝早くに目が覚めて、その後寝付けない」 「ぐっすり眠った気がしない」。これまで不眠症とは縁がなくとも、歳をとるにつれて、「しっかり眠れない」 悩みを抱える人は増えてくるものです。そもそも、筋力や関節の衰えと同じように、人間の睡眠力(深く眠る力)もまた、 加齢によって、減退するもの。50歳を過ぎると深く眠っている時間が大幅に減って、60歳以降は一晩中、 ほぼ浅い眠りにとどまることが多くなります。 夕方を過ぎたらもう眠くなり(18〜20時)、深夜(2〜3時)に目が覚めるという極端な早寝早起きも、 高齢の方にときに見られる現象です。 これは「睡眠相前進症候群」といって、年齢とともに、体内時計の周期が早い時間にズレていくことが 原因といわれています。 個人差はあっても、睡眠力の衰えからこうした不眠が生じるのは、老化=自然現象ですから、むやみに悩む必要はありません。 楽に寝付きたいと寝酒をやったり睡眠薬に頼りきりになるほうがむしろ感心できないもの。 夜中に目が覚める中途覚醒も、2回までなら正常範囲といえるでしょう(3回を超えると、泌尿器系の病気の疑いあり)。 長寿のためには一日7時間の睡眠が推奨されますが、これはあくまで一般論。 60歳以上になれば、多くの人が6時間以上は眠れなくなるものです。


■体温・脈拍を調節して眠りを誘うメラトニン

老化現象なので深刻になりすぎないようにとはいえ、現在、不眠によって心身のトラブルが引き起こされているようなら、 そのまま放置はできません。昼間も眠気が消えない、集中力がわかない、頭痛や眼痛が続くなどの症状を伴うようなら、 これは明白な不眠症です。医師の診察を受けるとともに、睡眠力の衰えに待ったをかけて、 しっかり眠るための生活改善に取り組んでいきましょう。

睡眠力の衰えとは具体的に何を指すかといえば、先にあげた体内時計のズレに加えて、 「眠れ」という指令を出す脳の力が弱くなることが一つ。 さらに無視できないのが、 「メラトニン」 というホルモンの分泌量が低下していくことです。 脳の松果体という場所で作られるメラトニンは、体温を低くしたり、脈拍をゆっくりにするなど、 体内時計を調節して睡眠を誘うホルモン。脳内でメラトニンの濃度が上がることがスイッチとなって、 私たちは気持ちよく眠りに落ちるのです。 特徴として覚えておきたいのは、メラトニンは夜、決まった時間になると分泌されるものではないということ。 その日、最初の光を浴びてから、14〜16時間後に分泌量が増大。さらにその2時間後に分泌量が一気に増えて、 私たちは強い眠気に誘われます。睡眠中、メラトニンは脳内を満たしながらも、徐々に減少に向かいます。 その濃度が一定量に下がったところで、自然に目覚めを迎えるわけです。


●メラトニン分泌には、昼の習慣が大きく影響

まさに、睡眠ホルモンと呼ぶにふさわしい役割を果たすメラトニンですが、 残念なことに、生涯にわたって豊富に分泌されるわけではありません。 年齢とともに、脳の松果体の細胞が減少すると、メラトニンの分泌量も低下。 すなわち、睡眠力が衰えていくわけです。 実際、高齢の患者さんの脳をCTスキャンで撮影すると、松果体にカルシウムが沈着して、 白くなっている様子がたびたびうかがえます。松果体の細胞が減ることに伴った現象と考えられます。 逆に言えば、このメラトニンの分泌量を回復させる(減らさない)工夫を実践することで、 睡眠力の衰えを自力でカバーすることが可能になります。 メラトニンはとてもデリケートな性質で、日中にどんな生活をしているかによって、その分泌量が変動するからです。



最後のページ | 次ページ